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・クラシックレンズで撮影する

ミラーレスデジタルカメラの素晴らしい機能の1つは古いクラシックレンズ、特にレンジファインダーカメラのレンズを取り付けて撮影が出来る事でしょう。特にフルサイズセンサー搭載の機種のミラーレスデジタルカメラだと取り付けるレンズの画角のまま撮影が可能になります。SONY a7Cを購入したのもLeica Elmar 5cm F3.5を使用したいからでしたので、マウントアダプターの使用感や取り付けの際の事などを含めて書いていきます。

・ライカMマウントとMLリング

今回選んだのはK&F ConceptのライカMレンズ-ソニーNEX Eマウント マウントアダプターとMLリング28-90です。マウントアダプターはレンズ側がLEICA(ライカ) Mマウントでボディ側がSONY Eマウントになります。MLリングはレンズ側がLEICA L39(M39、L、LTM)マウントでボディ側がLEICA Mマウントになり、これを使用する事でSONY EマウントでLEICA L39マウントのクラシックレンズが使用可能になります。

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・ライカスクリューマウント

ライカのねじ込み式のレンズを使用するマウントはLマウント、M39マウント、LTMなどと呼ばれ日本ではLマウントが比較的使われていてeBayなどでM39, LTMで検索するとヒットします。Lマウントと呼びたいところですが、ライカ、パナソニック、SIGMA用の新しい共通マウントの名称としてLマウントを名乗ったので最近ではL39マウントが一般的になっているのでここでもL39と表記します。ライカスクリューマウントで通じますが、スクリューはScrewで頭文字はSなのでLTMの略ではなく、LTMのTはThreadのTでライカスレッドマウントの略になります。


MマウントアダプターとMLリング

・Mマウントアダプター

ライカM3以降のバヨネットマウントのレンズをEマウントで使用するためのレンズアダプターです。今回L39マウントのレンズを使用するので、L39 – Eマウントアダプターの方がよいと思われるかもしれませんが、Mマウントは共通(中間)マウントとしてとても優れているので最初の1つにはMマウントアダプターがおすすめです。あとはLMリング経由でないと使えないレンズがあるからも理由の1つです。


Mマウントアダプター


EマウントはNEXの表記になっています

・ライカMマウント

フィルム自体にもマウントアダプターはあり使用した事がありますが、それに比べるとかなり作りの質も上がっていて安っぽくはありません。Mマウントはバヨネットマウントでレンズを固定する機能があるため、マウントアダプターにレンズ脱着のボタンがあります。こちらは単なるマウント形状を変換するだけのアダプターですが、Mマウントにヘリコイド機能を持たせて撮影最短距離を短く出来るヘリコイド付きアダプターがありVoigtlander(フォクトレンダー)や焦点工房などから出ています。


手前の赤いマークがレンズ脱着ボタンです


Eマウント側

・計量する

Mマウントアダプター単体をクッキングスケールで重量を測ると50.3gでした。

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Mマウントアダプター単体で50.3gです

・a7CにMマウントアダプター取り付ける

a7CにMマウントアダプターを取り付けました。レンズの脱着ボタンを含めて全体的に作りもよくEマウント側への取り付けにも問題はありません。RF(レンジファインダー)カメラレンズ用のアダプターなので一眼レフカメラ用のマウントアダプターと違い薄く作られています。

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Mマウントの左側にあるのがレンズ脱着ボタンです


レンジファインダー用なので薄いです


本体後ろから

・MLリング

MマウントのカメラやマウントアダプターにL39マウントのレンズを取り付けるためのアダプターリングです。ライカ純正などもありますが、今回はより安価なMマウントアダプターと同じK&F ConceptのMLリング29-90mm用にしました。LMリングと表記するメーカーもありますが、ここではMLリングとしました。


パッケージはMマウントアダプターより薄いです


28-90mm用です


28-90mm用でM39ねじ込み側です


Mマウント側です

・MLリングを取り付ける

MマウントはバヨネットマウントなのでMLリングを固定するまで回転すると装着完了です。それほど回す力は必要ないので、はまらない時はきちんと装着されていないだけなので無理に回すのはやめましょう。


LMリングを取り付けました

・計測する

MマウントアダプターとLMリングを合わせた状態で計測すると63gでした。同じK&F ConceptのL39 – Eマウントのマウントアダプターだと42.6gで少し軽くなります。

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合計で63gです

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・Leica Elmar 5cm F3.5

Leica Elmar(ライカエルマー)5cm F3.5で、これを使用したくてa7Cを購入したとも言えます。以前レンズは5cmなどセンチ表記でしたが当然50mm(実際は51.6mm)のレンズです。このレンズは戦前のコーティング無しのモデルでオーバーホール済の非常に状態がよいです。ここまで古いクラシックレンズの場合は出来るだけ程度の良いものを専門店で購入する事をおすすめします。L39マウント用ロングリアキャップはElmar 5cmを沈胴したまま保管出来て便利です。


L39マウント用ロングリアキャップとかぶせレンズキャップ


Elmar 5cm F3.5コーティング無しです


素晴らしいコンディションです



・LMリングをElmar 5cmに装着する

LMリングはMマウントのM3などのカメラに取り付けた時にレンズと同じ画角のブライトフレーム(ファンダー内の枠)が表示され、28-90mm、35-135mm、50-75mmと種類があります。今回使用する28-90であれば対応するカメラで28mmと90mm枠が出ますが、デジタルカメラ(LEICAのを除く)でマウントアダプター経由で使用する場合は関係ないのでどれでもよいと思います。


LMリングとElmarのスクリューマウント


LMリングをElmarに取り付けました

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・Elmar 5cmを使用する上での注意

LMリング自体もいろいろな所から出ていますが、単に平面になっているリングだとElmar 5cmなどを使用する場合にはフォカスレバーが引っかかるので、必ず切り欠き有りのタイプのLMリングにしましょう。今回のK&F ConceptのLMリングはどれも切り欠き付きで同じメーカー同士なので組み合わるにしても安心です。L39 – EマウントアダプターだとL39マウント側が平面なのでElmar 5cmのフォーカスレバーが干渉して動かず使用自体が出来ません。


フォーカスレバーの出っ張りを切り欠き部分で逃します


Mマウントに取り付けてもフォーカスリングが回転します


L39マウントレンズがEマウントに付けられるようになりました

・a7CにElmarを取り付ける

ボディのMマウント側とレンズを合わせて回転するとロックされるので、これで撮影が可能になります。RFカメラ用のレンズなので取り付けてもマウントアダプターを含めた長さが長くなり過ぎる事もなく見た目もよいままです。Elmar 5cmに限らず古い沈胴レンズを取り付ける時はレンズを伸ばした状態でボディに取り付けるようにしましょう。a7CにElmar 5cmを取り付けて撮影するとレンズは本当にこの80年で進化したのだろうかと思わせます。


レンズがコンパクトでいいです



・沈胴はさせない

フィルム面とセンサー面までの距離が同じなのでたぶん沈胴させられるのでしょうが、センサーを傷つける可能性はなくはないので、古いレンズは沈胴させずそのままにしておいた方がよいと思います。


沈胴させずにそのままが基本です

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・LMリングの取り外し方

一番のおすすめは出かけたらつけっぱなしでレンズ1本で撮り終える事ですが、どうしてもレンズを交換したい場合があると思います。Eマウントレンズに交換にするのであればMマウントアダプターごと外してしまうのがよいでしょうが、LMリングだけをはずしたい場合は取りづらいと思われる方が多くいるかと思います。LMリングのみを取り外す場合はレンズを取り付けた状態で少しL39レンズをねじ込み(強く回し過ぎないように)、その状態でMマウントのレンズ脱着ボタンを押してレンズを回すとLMリングがレンズに付いた状態で外れます。


Elmar 5cmを取り外しました


LMリングが残ったままです

・オーバーインフ

a7Cに限らずマウントアダプターは無限が確実に合うようにするためにレンズを無限に合わせる少し手前で無限に合うようにオーバーインフ(インフィニティ)作られている物が多いです。これはマウント側と古いレンズ側の両方の誤差を考えているからで不良品ではありません。このため遠景を写真に撮る時に何も考えずに無限に合わせると、思ったより描写が緩いレンズだなと勘違いしてしまう事があります。マウントアダプターを取り付けたらまず遠くにある鉄塔やタワー、もしくはビルの窓枠などを拡大フォーカスで合わせてレンズのどの場所で無限が合うかを必ず確認しましょう。そして撮影時も時間はかかりますが、いつもフォーカスをきちんと合わせるとよりシャープな写真になります。今回のK&F ConceptのMマウントアダプターとMLリングの組み合わせは精度も高く無限はElmar 5cmと合わせてピッタリでした。

・Jupiter 5cm F2

せっかくなのでJupiter 5cm F2.0もa7Cに取り付けてみます。Jupiter 50mm F2.0はZeiss Sonnar 50mm F2.0のコピーと言われますが、実際はZeissの工場そのままロシアに移動してZeissの工員の元に作られたレンズなのでZeissそのものと言ってよいレンズです。実際にElmar 5cmと撮り比べてみると若干画角が狭く、Elmar 5cmが51.6mmとするとJupiter 50mmの画角は53mm前後ではないかと思います。このレンズは本当に素晴らしい写りなのでとてもおすすめで、特に銀鏡胴のモデルがよいです。


古いレンズはかぶせキャップに限ります


前後レンズキャップをはずしました


光学は綺麗な程度のよりレンズです

・a7CにJupiter 50mmを取り付ける

Elmar 5cmと同様にJupiter 50mmをLMリングを介してa7Cに取り付けます。シルバーの鏡胴はやはりレンズと言う感じでとてもよいです。Jupiter 50mmもa7Cで撮影してみたところ60年以上前のレンズとは思えないほどシャープで色自体はElmar 5cmより派手に出る傾向があります。Jupiter 50mmはフィルムカメラでもとてもおすすめのレンズです。

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a7Cに取り付けました


シルバー鏡胴はやはり格好いいです

・撮影してみる

ミラーレスに限らずデジタルカメラでクラシックレンズを使用する場合はカメラ側の設定のレンズ無しレリーズの許可をオンにする必要があります。a7Cは出荷状態からレンズ無しレリーズの許可がされているので、特に設定も偏光せずクラシックレンズで撮影が可能です。

・実絞り

レンズ側とマウントアダプターに電子接点が無いので、カメラ側で何mmのレンズで絞りが現在Fいくつに設定されてるかがわかりません。なのでAの絞り優先モードで撮影すれば現在の明るさに合わせてカメラ側で露出を決定してくれます。もちろん拘る方はフルマニュアルでシャッタースピードを設定してもよいと思います。

・拡大フォーカス

MF(マニュアルフォーカス)レンズで撮影の場合に一番大変なのがフォーカスを合わせる事でしょう。風景を撮るくらいでしたらいいですが、近景やポートレイトとなるとこれが液晶画面であれファインダー内であれきっちりと合わせるのは至難の業です。そこでメーカー側もフォーカス用に拡大表示機能を付けているので、デジカメ側のボタンのどれかにフォーカス用の画面拡大を設定すると一気に使い勝手がよくなり、フィルム一眼レフカメラなどを超えるフォーカス合わせが可能になります。

・手ブレ補正

a7Cも含めてボディ内手ブレ補正機能が付いているミラーレスデジタルカメラが増えています。このボディ内手ブレ補正機能をクラシックレンズで使いたい方も多いと思います。a7Cの場合はレンズの画角が自動になっているので、これをElmar 50mmなら50mmに設定する必要があり、この設定はファンクション(Fnボタン)で設定できる項目に追加しておくとクラシックカメラレンズを使用する時に便利になります。

・クラシックレンズを使用してみて

ミラーレスデジタルカメラで古いクラシックカメラのレンズが気軽に使えるとは技術の進歩は本当に素晴らしいです。SONY a7系などミラーレスでフルサイズセンサー搭載のデジタルカメラであれば以前では難しかった付けるレンズのそのままの画角で撮影する事が出来ます。マウントアダプターの精度も低価格の物でも非常にかなり高くなっています。現在手持ちのレンズを使用するためにでもよいですし、これからクラシックレンズを揃えてみようと言う方も撮影の幅を広げるためにマウントアダプターを1つ追加してみてはどうでしょうか。



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