
・フィルターを揃える
レンズを増やすとフィルター径サイズが違うために同じ種類のサイズ違いがどんどん増えてきます。SONY a7CのキットレンズSEL2860のフィルターは40.5mm径なので元々フィルムカメラレンズ用でいくつか持ってましたが、それに合わせてマルミとケンコーのフィルターを2つ追加してみました。実際に撮影で使用した使用感やそもそも必要なのかなどを含めて書いていきます。
・MARUMI UVとKENKO C-PLフィルター
今回新規に購入したのはMARUMI(マルミ)のUVフィルターとKENKO(ケンコー)のC-PLフィルターです。どちらも取り付け径は40.5mmで枠のカラーは黒です。それ以外はフィルムカメラレンズ用に中古などで揃えたフィルターになります。
・MARUMI UVフィルター
マルミのUVフィルターです。フィルターは基本的にマルミを買うようにしていて、このUVフィルターはどこのカメラ屋でも売っていると思います。MCなのでマルチコーティングされていてUV効果が高いのだと思います。UVって何と思われるかもしれませんが、Ultra Violet(ウルトラバイオレット)の略なので単純に紫外線をカットするフィルターになります。
・計量する
UVフィルターをデジタルクッキングスクールで計測しました。0.5gに切り替わっていたので写真では8.5gですが、0.1gモードで測り直したら8.8gでした。
・a7Cで使用する
ソニーのa7CのキットレンズはSEL2860にUVフィルターを取り付けました。デジタルカメラに限らず、明確な意図が無い限りレンズに基本的にフィルターは付けないのですが、a7Cの様にだれでも気軽に撮れるコンパクトなカメラとなると、出先で知人も含め誰がレンズ面を触るかわからないので、プロテクター代わりに取り付ける事にしました。現にこの後知人にベタベタにされました。UVフィルターのガラス面に付いた指の脂の落ちはそれほどよくなかったので、汚れ防止に使用する方は撥水や汚れに強いUVフィルターを選ぶとよいでしょう。フィルター効果の違いはわかるかと言われれば撮り比べないのもあり全くわかりません。
・レンズキャップを取り付ける
純正のレンズキャップは高いので無くす前にUNの40.5mm用レンズキャップに交換します。UNのキャップ類は低価格でもスナップ式で十分なクオリティなのでデジタルカメラのレンズに取り付けています。フィルムカメラレンズ用にはそこまで揃えての趣味なのもあり発売当時のオリジナルロゴの物を使用しています。
・UVフィルターは必要なのか
デジタルカメラになりいろいろな事が変わりましたが、このフィルター必要論もよく話題に出ます。フィルム時代のレンズはコーディングがなかったり、あってもシングルコーティングだったりとUVカット用のフィルターも効きがあると言われてました。現在のデジタルカメラ用に発売されているレンズはマルチコーティングにレンズそのものがUVをカットしているので付ける意味すらないと言う方もいます。デジタルカメラ用ではUVをカットしたりする機能よりは、傷や埃などから高価なレンズを守るプロテクターとしての用途に変わってきています。
・レンズプロテクター
UVフィルターは実は透明ではなく少し黄色がかっているので、プロテクター用のみに使用する方はUV機能が無い純粋なプロテクターがあります。プロテクター用はガラスは透明で透過率が高くなっています。そして綺麗なレンズは触らない磨かないに限るので、新品であればよりプロテクターをつけっぱなしの方がレンズ面は良い状態を保てるでしょう。
・フィルターで変化はないのか
どんな高価で高性能なプロテクターであろうとUVフィルターであろうとガラスを1枚レンズの前に付けるのと、フィルター枠がフード効果を出すので何かしらの変化はあると思います。特にUVフィルターは現代のレンズでも100%紫外線をカットするわけではないでしょうし、レンズに入ってくる前に紫外線カットされていればより効果が上がるはずとは思います。
・誰が触るかわからない
デジカメだと気楽に撮れるだけに知人などが使う事も考えられ、その方がカメラに慣れている保証もなくレンズを手で触る事などを考えるとプロテクターであれUVフィルターであれ大事なレンズには何かしら取り付けておいた方がよいでしょう。特に小さいお子さんのいる方は必須でしょう。
・フィルターでアートする
UVフィルターやプロテクターに限らず1枚ガラス面が増えているからこそ出る効果が反射でしょう。わざとカメラを太陽や強い光に向けるとフィルターを取り付けていない時とは違う反射(乱反射)をする事があります。その効果で面白い写真を撮るのも楽しいものです。
・Kenko C-PLフィルター
マルミはちょうどよい価格帯のC-PLフィルターを出してなかったので、C-PLフィルターはケンコーの物を選びました。特に超薄枠とか1段明るいとかの高級な物ではなく普通価格帯のC-PL(W)フィルターで一応薄枠タイプではあります。PLはPolarized Lightの略で最近はPolaringと呼ぶ事の方が多いようですが、要は偏光フィルターです。ゴルフで木々の反射を抑えたり、釣りで水面の反射を抑えて魚を見えやすくしたりするサングラスと同様の効果があります。カメラレンズ用では効果の強弱などをコントロールするために枠が回転するようになっています。なので回転して枠の角度が変わるズームレンズや縦位置で撮る時はその都度正しい角度にPLフィルターを設定し直す必要があります。
・C-PLを選ぼう
C-PLのCはCircular(円)ですので円偏光フィルターと呼ばれます。AF(オートフォーカス)のレンズではフォーカスが合わなくなる場合があるので、デジタルカメラで使用する場合はC-PLフィルターを選びましょう。MF(マニュアルフォーカス)のみを使用する方はPLフィルターでもよいですが、超薄枠とかでは無い限りそれほど価格も変わりませんし、C-PLはMFでも使用出来るので1枚買うならC-PLがよいと思います。
・期限があります
偏光フィルターは綺麗にしていればずっと使えるかと言うとそうではなく、偏光サングラスと同様に劣化していくので使える期限があります。だいたい通常使用で5年と言われていますが、使用頻度が低く保管状態がよければもっと長持ちするでしょう。消耗品となるのでPLフィルターはあまり高過ぎるのを選ぶ必要はないと思います。
・他のPLフィルターと比べてみる
その時の撮影スタイルや使用しているカメラにもよりますが、PLフィルターばかり使用していた時期があります。フィルム用からデジタルカメラ用まで様々なPLフィルターを使用しましたが、やはりコダックのポジフィルム(リバーサルフィルム)とPLフィルターの組み合わせの写真は最高です(でした)。カメラと共にかなり手放しましたがまだいくつかあったので紹介します。デジタル用だとケンコーの超薄枠を超広角レンズに使用していた時期があり、マルミのDHGは価格の割に効果が高いです。1段明るいC-PLフィルターなどありフィルムカメラにはよいでしょうが、ISOも変更出来て高感度になった最近のデジカメ用には明るさは絶対ではなく価格のバランスがよいのを選ぶとよいでしょう。
手前左から今回のKenko C-PL 40mm、Kenko Pro1D C-PL 49mm、Marumi DHG C-PL 37mm、奥の左から中古Kenko PL 49mm, Marumi PL 55mm
・変わった付け方
NEX-5用だったか初期のワイドレンズはフジツボフードが使用出来たので、UNの49mmを37mmに変化するフードの先端にPLフィルターを使用していました。逆にRollei 35(ローライズ35)には24mmを37mmにステップアップリングで変換してPLフィルターを付けて撮影をしていました。ローライ35は24mm枠のPLフィルターもあるのですが、フィルター自体を回転する必要があり落下のリスクがあったので使用していませんでした。レンズが多くなってきた場合はステップアップリングで大きめフィルターを用意してフード兼用で使用するとコストを抑えられます。SONY RX100にはオプションでフィルター取り付け枠をつけるアダプターがありそれにPLフィルターを取り付けていました。
ステップアップリングで49mmを55mmに変換してフィルムカメラレンズで共有
・サイズの合ったケースに入れる
Kenkoと言えばギザギザのフィルターケースでしょと思ったらこのC-PLフィルターは違うケースだったのでちょうどよいケンコーのフィルターケースを探す事にしました。何だでよく貰ったりして空のフィルターケースが沢山あり、その中から選ぶ事にしました。PLフィルターは他のフィルターより厚みがあるのでケース内のシムを変更したり少し浅めにフタを閉める必要があります。フィルター自体はマルミを好んで使っていますが、ケースはケンコーの方がよいです。
・a7Cに取り付ける
こちらもUVフィルターと同様にa7Cのキットレンズに取り付けます。フィルターをレンズの枠に固定してもフィルターの前はフリーに回転します。このフィルター枠の先端に矢印があるので、それを向ける方向によって偏光の効果が変わります。フィルム時代は一眼レフカメラ以外だと感(専用のファインダーなどもありましたが)と経験がものをいいましたが、デジタルカメラの良さはその場で結果を確認出来る事なので、いろいろと角度を変えたりして撮り比べると効果がわかります。
・実際に使ってみて
Kenko CP-Lフィルターをa7C使ってみて率直な意見はRaw現像するならいらないかもでした。この辺はその時の撮影スタイルや好みなどが関係しているので難しいところですが、空を青くするとか色の変化を求めるよりは、水面の反射を確実に減らしたいなど画自体を変えたい時に使用するのはありかなと思います。
・デジタル時代のフィルターワーク
フィルム時代は現像から色を変えたりの調整などが難しかったので、スカイライトフィルターなりPLフィルターなどを積極的に使用していましたが、今ではRAW現像ソフトでもその後のフォトレタッチソフトでもなんでも出来ますので、デジタルカメラでフィルターを積極的に使う方はかなり減っていると思います。それでは意味がないのかと言うとそうでもなく、光害カットフィルターなどを使用すると元からの色が一気に変わりますし、PLフィルターも正しく使えば効果はあります。今は現像やレタッチが出来るので、撮影段階でどこまで画を先に作ってしまうかをイメージする必要があると思います。もちろん色の変化だけでなく減光用のNDフィルターで露出をコントロールしたりと使い方は様々です。
・クラシックレンズに取り付けてみる
SEL2860のフィルター枠が40.5mmでクラシックレンズならあのレンズと思った方もいるのではないでしょうか。Leica iifに使用していたJupter 8 50mm F2.0と同じJupiter 12 35mm F3.5のフィルター枠が同じ40.5mmなので今回のKenko C-PLフィルターを取り付けてみました。Jupiter 35mmの方は絞りをフィルター枠を回転して設定するのでPLフィルターの使用はあまり向いていません。ちなみにJupiter 8 50mm F2.0はZeiss Sonnarコピーと言うだけでなく素晴らしいレンズなのでL39マウントのカメラだけでなくデジカメでも是非使ってみて欲しいレンズです。実際はコピーと言うよりはZeissの工場と工員ごとロシアに移動して製造したのでまんまSonnarと言ってよく、Jupter 12 35mmの方はZeiss Biogonがベースです。
・フィルムカメラレンズ用フィルター
40.5mmのフィルターはJupiter用に集めた事があるので紹介します。フィルムカメラでは意図的にフィルターを使用する事が多く、逆にUVフィルターなどは使わずたんなるコレクション状態です。カラーでもモノクロでも基本的にスカイライトフィルター1Bを使用する事が多く、モノクロではイエローフィルターも使用します。Zeiss Ikon(後ろ側左)のイエローフィルターは当時のケースもあります。中古フィルターで100〜500円くらいで売っているので状態がよければ中古でも問題ありませんし、古い銀鏡胴のレンズには当時の物のシルバーの方が色も素材も近く似合います。マルミの銀枠(前列右側)は物は良いですが、クラシックレンズとは質感が違い最近のレンズのシルバーに合わせてあります。そして同じ1Bでも左隣りのKenkoの物とは若干色が違います。WaltzのUV(後ろ真ん中)を見るとUVフィルターが黄色っぽい色をしているのがわかると思います。
前左から今回のKenko C-PL、Kenko Skylight 1B(黒枠)、Marumi Skylight 1B(銀枠)、後ろ左からZeiss Ikon Yellow、Waltz UV、今回のMarumi UV
・まとめ
実際にデジタルカメラでUVフィルターやC-PLフィルターを使用してみると、Raw現像をする前提で撮影するのか、そしてどんな画をどの段階でどこまで作っておくかとアプローチの仕方が重要になってくると感じました。もちろん大事なレンズなのでレンズ保護のためのプロテクターを特に新品レンズに購入後すぐ取り付けるのは効果が大きいので、レンズを触られる前にフィルターを用意しておくとよいでしょう。