・光害カットフィルターで夜景を撮る
SONY a7Cに単焦点レンズを2本追加したので撮影の幅を広げようとマルミの光害カットフィルターであるスタースケープを追加する事にしました。フィルムカメラで夜景を撮影して際にイエローに色がかぶるのはそのままにしていましたが、デジタルカメラでは少しアプローチを変えて現像前の段階でよりクリアな画作りをする事にしてみました。マルミのスタースケープフィルターの特徴や使い勝手など含めて書いていきます。
・MARUMI StarScapeフィルター
今回選んだのはMARUMI StarScape(マルミ スタースケープ)でフィルター取り付け枠49mm用です。比較的最近出たばかりのフィルターなのでフィルムカメラ、デジタルカメラ問わず使用する事が出来ます。
・光害カットフィルターとは
光害カットフィルターとはビルの明かりや電灯など人工的な光をカットするためのフィルターです。長時間露光で撮影していい感じでは取れてるけど、なぜか出来上がりが黄色っぽかったりピンクっぽかったりした経験がある方は多いと思いますが、その波長をカットして見た目に近い色で仕上げてくれ夜景や星景撮影で効果を発揮する便利なフィルターです。長時間露光での色かぶりもフィルムカメラでの撮影では味として捉えてましたが、今回違った撮影方法を取るために光害カットフィルターを使ってみる事にしました。
・なぜ使用するのか
デジタルカメラで撮影すると比較的簡単に色や現像段階での調整が可能になり素晴らしい進化だと思います。光害カットフィルター無しで撮影して後で青くすればよいと言う考えもありますが、デジタルカメラだからこそ撮影の段階では素材として実際の見た目に近い物を残した方が撮影後の幅も出ると思い光害カットフィルターを使用する事にしました。
・どうしてスタースケープ
光害カットフィルターではほぼ同時期に出たKenkoのスターリーナイトフィルターが人気がありますが、マルミのスタースケープも同じ目的で作られたフィルターです。フィルターは基本的に価格のバランスさえよければマルミを選ぶ事していますが、フィルター枠49mm用はKenkoしか出していませんでした。Kenkoのスターリーナイトを買おうかなと思っていたらマルミが49mm枠用を追加したのでマルミの方を選ぶ事にしました。
・今までと何が違うのか
これまでも光害カットフィルターは存在しましたが、それはガラスにコーティングをしたタイプだったため超広角レンズを使用の際に角度によって効果にムラが出ていました。マルミのスタースケープもKenkoのスターリーナイトも世代が変わりガラスそのものに光を吸収する素材を練り込んでいるので、超広角レンズを使用してもフィルターの効きが安定するように進化しました。これが理由で星景写真撮影家に非常に人気が出て一時期は光害カットフィルターは品薄でした。
・露出補正が必要
プロテクターやUVフィルターは透明(UVは厳密には少し黄色い)なので露出補正の必要はなく付けてそのままで撮影が出来ますが、このスタースケープフィルターは色が付いているのもあり露出倍数は1/4絞り分になっています。レンズの外で露出を測るクラシックカメラ以外で自動露出で撮る方は補正の必要はありませんが、長時間露光でマニュアル露出で撮る方は1/4分の露出補正が必要になります。Kenkoのスターリーナイトは若干フィルターの色が濃いのか露出倍数は1/3なのもありフィルターの効きは強いように見えます。
・デジタルカメラに取り付ける
SONY a7CとSONY Zeiss 35mm F2.8 SEL35F28Zのセットにマルミスタースケープフィルターを取り付けます。SEL35F28Zは純正フジツボフードを使用すると先端のフィルター枠は40.5mmですが、そのままの状態だと49mmと他のレンズとフィルターが共有しやすフィルター枠のサイズになっています。a7CとSEL35F28Zの組み合わせはソニー純正だと現状最軽量の組み合わせになり、SEL35F28Zはフィルムカメラ好きなら気に入るであろう良い描写のレンズです。
【レビュー】SONY ZEISS 35mm F2.8 SEL35F28Zはレンズらしいレンズでα7Cに合わせて純正最軽量システムにしました
・フィルムカメラに取り付ける
フィルター枠が49mmと言う事でフィルム一眼レフカメラの中で一番のお気に入りのOlympus OM-2NとOM Zuiko 24mm F2.8の組み合わせにマルミスタースケープフィルターを取り付けてみました。最近のフィルター枠はどれも薄いので24mmの画角でケラれ(フィルター枠が影になる)ないとは思いますが、超広角で撮る方はステップアップリングで大きめのフィルターにするなりの工夫が必要かもしれません。
・三脚を使用する
デジタルカメラの最大の進化は超高感度化とISOを撮影中に変更出来る事で、街の夜景くらいであれば手持ちで撮れてしまうくらいになりました。長時間露光で本格的に夜景や星景を撮る場合はやはり三脚でレリーズ(リモコン)を使用して撮りたいところです。そこでアルカスイス対応のL型クイックリリースを使用する事にします。
・L型クイックリリースを取り付ける
夜景や星景撮影の現場はもちろん暗いですし、カメラを三脚への取り付ける時に他の方の迷惑にならないようなるべきヘッドライトなどの使用も避けたいところです。そこで三脚へのカメラの取り付けと縦横位置の変更が楽になるようにアルカスイス対応のL型プレート(ブラケット)を取り付けます。これで特に冬の寒い夜間に誤ってカメラを落としたり傷つけたりするリスクがかなり減ります。このL字クイックリリースはソニーa7C専用ではなくオンラインストアなどでよくある汎用の物でこれまではオリンパスOM-2Nで使用していました。
・49mm フィルターコレクション
小型なガジェット好きなのもあり49mmのフィルター枠のレンズを多く使用してきて、知らないうちに49mm枠レンズ用のフィルターが増えてしまいました。基本的にフィルムでもデジタルカメラでもフィルターは取り付けないのですが、カラーフィルムの場合はスカイライト1Bをデジタルカメラで条件によってはC-PLフィルターを使用する事があります。モノクロフィルムでイエローフィルターも使用しますが、ハーフNDフィルター(右下)だけは使う機会がありませんでした。
・撮影してみて
SONY a7CとSONY Zeiss 35mm F2.8の組み合わせにマルミスタースケープフィルターを取り付けてフィルターの有り無しで撮り比べてみるとメーカーのサイト通りに大きく街灯などの光害がカットされ、非常に見た目に近くブルーでクリアな夜景写真に仕上がります。フィルター有り無しのどちらが良いかと言うと好みなのでしょうが、デジタルカメラで長時間露光をするならマルミスタースケープフィルターありが良さそうです。
・デジタルカメラだからこそ
デジタルカメラでフィルムより格段にやりやすく進化したのが気軽に自分で現像が出来るようになった事でしょう。Rawで撮影しておけば現像段階で露出であったり色など細かく調整する事が出来ますし、Jpegでも画像加工ソフトであればほぼ無限に写真の加工が可能です。そこで写真を仕上げる際に最初の撮影段階のRawデータ(Jpegでもよいです)では見た目に近いデータにしておいて、そこから好きな色などに調整していくのがデジタルカメラ撮影での作法ではないでしょうか。フィルムでもどの様に撮ってどう増感してプリントするかなどを考えて撮ったように、デジタルカメラでもどの段階でどのような画にしておくべきかを考えて撮影する方が現像段階からの幅が広がると思います。
・夜は補正は切る
ノイズリダクションやレンズ補正関連はJpegデータにしかかからないので、Rawで長時間露光で撮影される方は1枚撮る度にカメラがJpeg現像処理をして時間が倍かかるだけなので補正などは切って撮影した方がタイミングを逃しません。
・まとめ
普段夜を歩いたり車を運転したりして街灯などが害などとは考えたりしないと思いますが、この光害カットフィルターの効きの凄さをみるとどれだけ郊外や山林へ行ったとしても何かしら街灯や街の明かりの影響が出ているのだろうと簡単に想像が出来ます。撮影してもなかなか違いが感じられないフィルターは多くありますが、このマルミのスタースケープは非常に優れた光害カットフィルターなので夜景星景撮影好きの方は是非一度試してみてはどうでしょうか。