ページ1:ISOダイヤルの清掃
ページ2:シャッターレバーの分解
ページ3:ペンタプリズムの分解
ページ4:プリズム修正とモルトの貼り替え
・中央のトップカバーを取り外す
中央のトップカバー(ペンタプリズムカバー)にはプリズムと基盤類が入っています。ミノルタXEはフォーカシングスクリーンがミラー室側(レンズマウント側)から取り外せないので、ファインダーのゴミ取りや清掃にはプリズムを取り外す必要があります。オリンパスOM-1などはフォーカシングスクリーンをミラー側からはずせてファインダーのクリーニングも楽でコンパクトながら素晴らしい設計になっています。
・ファインダーシャッターレバーを取り外す
ファインダーの左側にはファインダーシャッターのレバーがありますが、カバーで封印されているので精密ドライバーなどで剥がすと取り付けのマイナスネジが出てきます。ゴムのカバーを戻す時は接着の弱いボンドのGクリアなどを使用して貼り付けます。
ファインダーシャッターのスイッチのゴム部分を外すとマイナスネジが現れます
・ファインダーシャッターとは
ミノルタXEに限らずですが1970年代当時の一眼レフカメラにはファインダーの窓を閉めて真っ暗にするシャッターが付いている機種が多くありました。これは夜間の長時間露光などの時にファインダー側からレンズやフィルム側へ光が入るのを防ぐための機能です。あとはミラーアップさせるレバーがある機種などありますが、これは超広角レンズを使用する際に後玉とミラーが触らないようにするために付いていた機能です。
・ペンタプリズムカバーを取り外す
ファインダーシャッターレバーを取り外してペンタプリズムカバーを持ち上げると取り外す事が出来ます。ペンタプリズムカバーにもモルトが貼られているのでこちらも後ほど貼り替えます。
ペンタプリズムカバーを取り外しました(こちらにもモルトが付いています)
・整備マニュアルの話
ペンタプリズムカバーを外すと電池を使うカメラだけに配線と調整が可能なマイナスネジのダイヤルが7つある事に気が付きます。このネジを回す事によって自動露出など細かい調整をするのですが、ブログなどの情報をみると見事に全部間違っていました。ミノルタのカメラだけではありませんが、車やバイクのようにミノルタXEには説明書とは別に整備マニュアルが存在します。(販売店など向けと思われます)整備マニュアルを見るとどれがシャッタースピード、針の調整なのか全て記載されているので、整備する場合には手に入れておくと修理と調整がかなり楽になります。
・アイピースを取り外す
ファインダーのアイピース部分を取り外してファインダーの両面を綺麗にします。ファインダーのガラスは外からも清掃出来ますが、意外とプリズムがある内側が汚れている事が多いので表裏共にクリーニングします。ガラスや光学系にはフジフィルムのレンズクリーニングペーパーとレンズクリーニングリキッドを使用すると汚れだけでなくカビも落ちるので最適です。
光学部分はフジフィルムのレンズクリーニングペーパーとリキッドを使用します
・プリズムを取り外す
プリズムの腐食が始まっている個体のためプリズムを取り外すと共にこれ以上腐食しないように処理をしてファインダーも清掃してしまいます。プリズムはプリズム上の基盤の手前(ファインダー側)にある取り付けネジを外すとプリズムを抑えているステーがはずれるので、はずしてから基盤を持ち上げるとプリズムが出てきます。古いカメラはパーツよりも配線材などが古く当時より硬くなっているのでゆっくりと持ち上げましょう。配線が取れても対処出来るように半田ごて等は用意しておくとよいでしょう。
プリズムを取り出しました(カメラの右にあるのがプリズムです)
・フォーカシングスクリーンの注意
プリズムを取り外すとフォーカシングスクリーンが現れます。フォーカシングスクリーンはガラス側とマット側がありますが、マット側は汚れていても絶対に触らないようにしましょう。マット側は磨いてしまうと傷がついて戻らなくなるので、クリーニングする場合はブロワーで拭く程度にして、磨くのはガラス側だけにしましょう。
・プリズムを清掃する
プリズムを取り外すと一見普通なのですが、レンズ側のモルトが劣化したためにプリズムの黒い塗装部分が腐食していました。すでにファインダーを覗くと下側に線が出て画像が見えない状態になっていたので、軽く無水エタノールで磨くと塗装ごとはがれました。
手前の四角い透明部分がプリズムの腐食部分です(本来は黒く塗装されて内側がミラーになっています)
・ペンタプリズム内の腐食防止処理をする
ミノルタXEのプリズムはオリンパスOM-1と同様にモルトの上に乗せられているため腐食してしまう事が多いです。(よく当時リコールにならなかったと思います)もし現状でプリズムに腐食がなくても、今後腐食が進まないように処理してしまう事をおすすめします。プリズムの腐食はモルトが湿気などで塗れる事で劣化が進みプリズムのミラー部分を剥がしてしまう事で発症するので、まめに交換するのであればモルトを使用してもよいですしが、モルトを腐食しない素材のものと交換するとより長期間腐食なしで使用出来るようになります。モルトの変わりはスポンジでもフエルト(毛羽立ちがあるのでいまいち)よいですし、クラシックカメラで使用されているハイミロン(ベルベット風の生地)を使用するのもよいでしょう。
レンズ側(写真左側)にあるモルトの劣化でプリズムが腐食します
・ペンタプリズムのモルトをはがす
ペンタプリズム内のモルトを剥がすとかなりゴミが出るのでファインダー内の清掃を忘れないようにします。ブロワーで拭くと奥に入り込んでしまうので、竹串、爪楊枝や綿棒の先にマスキングテープを貼ってゴミを接着させると、組み立てた後にゴミが出てくるトラブルなども減りファインダー内が綺麗になります。フォーカシングスクリーンのマット側のゴミはペンタ棒などを使用するとよいかもしれません。(触らないのが一番ですが)
ミラーが当たる部分にもモルトがあります(フォーカシングスクリーンには触らないように)
・モルトを切り出す
ペンタプリズム内とミラーショック用のモルトを張り替えるために、ハイミロンを切り出します。ハイミロンの裏側に両面テープを張りロータリーカッターなどで切り出します。
・ペンタプリズムのモルトを貼る
切り出したモルト(ハイミロン)をペンタプリズム内に貼り付けます。指でモルトを持って曲げずに貼り付けるのは辛すぎるので、この手の細かいパーツを貼り付けるには電子工作用のピンセットを使用すると楽に貼り付けが出来ます。特にピンセットでも通常時に閉まっている逆作用ピンセットがあると便利なので揃えておきましょう。
次のページではプリズムの修正してフィルム室のモルトなどを貼っていきます