・ベースのガリを修理する
Fender Japanのプレベのポットからガリが出るようになったので、この機会に全てのパーツと共に回路もビンテージ方式にして入れ替える事にしました。パーツの選定から回路の半田付けまで詳しく買いていきます。
・回路パーツを揃える
プレベの回路は1ピックップにボリュームとトーンの2つのポットだけなのでそれほど細かいパーツを揃える必要ありません。揃えた回路のパーツはCTSのポットが2つ(カスタムとノーロード)、オレンジドロップのコンデンサー、スイッチクラフトのジャックです。あとは配線に必要なキャビティのアースとポットのアースのためのラグ、それとピックップ取り付け用の黒いビスです。
・CTSポットカスタム仕様
ポットと言えばCTSですが、低抵抗のカスタム仕様のCTSポットを使用します。Aカーブ250kΩでUSAサイズのスプリットシャフトです。使用するFender Japanのプレベは元々ポット類がUSサイズに変更されているのでそのまま使用出来ますが、ミリサイズのポットから交換する場合はピックガードの穴を広げたりする必要があります。
・CTS無抵抗ポット
トーン用にはCTS A250kΩ No-Loadを使用します。No-Loadポットは特別仕様でフルアップにするとトーン回路をスルー(無抵抗になる)します。ボリュームにも使用しないのかと思われるかもしれませんが、No-Load使用はトーン専用なので間違えないようにしましょう。No-Load仕様のCTSポットは回転トルクがスカスカで軽いのでボリュームとトーンノブのトルクを合わせたい場合はボリュームに使用するポットと同じものを使用するのがよいでしょう。
・コンデンサー
回路で音のキャラクターづけに重要になるコンデンサー(キャパシター)はSPRAGUE ORANGE DROP 715P 400V 473J 1737を使用します。容量は0.047uF で基本的なプレベの回路であれば250kΩのポットと0.047uFのコンデンサーの組み合わせで問題ありません。コンデンサーには400Vや600V用などがありますが、耐圧(V:ボルト)が大きいほどワイドレンジでローエンドがリッチなサウンドの傾向になります。
・スイッチクラフトのジャック
ギター用のジャックと言えばスイッチクラフトです。ギターやエフェクター用に定番のモノラルジャックで型式は#11で型番はSCG-J11になります。USA製は特にそうですがプラグが少しキツめにカチッと入り、雑に抜き差しを多くしてもフィーリングが変わらない優れたジャックです。ジャックの接触がなどとトラブルを良く聞きますが、日本の場合のスタジオ機材トラブルのほとんどがタバコのヤニでクリーニングするだけで直る事がほとんどなので、機材に一番よいのは禁煙だったりします。
・ラグ
キャビティ内の導電塗料に接触させてアースを落とすためにアースラグを使用します。アースラグも一箇所ではなくなるべく分散させて取り付けた方がノイズが少なくなります。ポット用のアースラグはとても便利でポットと共締めして取り付けておけばポット本体に熱を与えてアースの配線をする必要がなくなりポットを壊すリスクが減ります。特にヤニなし半田を使用する場合は半田ごての温度が上げる必要があるのでラグを取り付ける事をおすすめします。
・ピックガード用ビス
ピックガード、ブリッジ、ペグとパーツを黒くしていて最後に残ったのがピックガード取り付けようのビスなので、バラ売りのブラックビスを用意しました。Fender Japan用なのでミリサイズ(インチ用より少し太い)になっています。
Fender Japan用ミリサイズのピックガード取り付けネジ
・アルミテープの罠
ピックガードもはずすしアルミテープでノイズ対策をと思う方も多いでしょうが、アルミテープは全てが通電するわけではありません。実際にテスターで調べたると通電しないアルミテープがあり、それをピックガードの裏に貼っても全く意味がありません。もしアルミテープを貼る場合は必ず通電チェックをしてからにしましょう。あとはノイズ対策と言って導電塗料を塗りまくったり、アルミテープを貼ったりと対策しまくるとハイ(高音)が落ちるので、やり過ぎないよう何事もバランスが重要です。
・半田ごて
回路を半田づけするので半田のセットがまず必要になります。現在半田は鉛入りと鉛無しの2種類がありそれぞれ使用するのに必要な温度が違うので温度調節が出来るものか必要な温度まであがる半田ごてを用意しましょう。コンデンサーなど細かいパーツの取り付けがあるので排熱のために使用する専用のクリップなどあると便利です。
・テスター
アナログテスターは各パーツや回路の通電を確認するために使用します。何かを修理するには必ず必要になるのとトラブル発見が早くなるので安価なものでもよいので揃えておきましょう。
・ワイヤーストリッパー
何が一番必要かと聞かれたら必ずワイヤーストリッパーと答えるほどあるとないとで効率が全く違っている便利工具がワイヤーストリッパーです。ワイヤーの皮膜をカッターで剥ぐほど非効率的な事はないので、配線や回路を組む時は必ずワイヤーストリッパーを用意しておきましょう。まず最初の1本としてはベッセルの赤がおすすめで、ギターの回路だろうと真空管アンプを組む時であろうとこのベッセル赤の1本で十分です。
・ホットガン
パーツの脱落などを防ぐためにはやはりホットメルトが便利です。半田ではなくパーツ自体を固定したい時に使用するには最適ですが、今回は使用せずに済みました。これも修理や電子工作には便利なツールなので1本用意しておきましょう。
・Fender Japan Precision Bass
使用するのはFender P-Bass(プレベ、プレシジョンベース)です。カラーは80年代の限定カラーであったカプリオレンジで細かいパーツをブラックに入れ替える黒化計画中で残すはピックガードのネジだけとなっています。
Fender Japanプレベ(カプリオレンジ+黒パーツ仕様)