・動画撮影にはNDフィルター
通常の動画撮影では使用出来るシャッタースピードの範囲が狭いため晴天などでは絞りだけでは対応出来ずNDフィルターが必須となるので、そこで格安の可変NDフィルターを試してみる事にしました。
・格安NDフィルター
今回購入したのはオンラインで売っているとにかく安い可変NDフィルターです。ケンコーやマルミなどは数万円しますが、その1/10以下の価格で手に入る格安の可変NDフィルターです。
・なぜNDフィルターが必要なのか
晴れていたらシャッタースピードを上げるか絞ればいいのではと思われる方もいますが、自然に見える動画を撮るには最適なシャッタースピードが決まっています。秒間30フレームの動画であば倍の1/60がよいとされ、1/1000などで撮ると止まったように見えてしまいます。しかも秒間30フレームであれば当たり前ですが、シャッタースピードを1/30以下には出来ません。そのため動画はシャッタースピードの範囲が狭く、シャッタースピード優先とも言える撮り方が基本になります。ではISOを低くすればと思う方もまたいると思いますが、Log撮影はISO640以上のみの高感度で撮影する必要があるので、動画に最適なシャッタースピードの範囲内で撮影するにはNDフィルターが必須となります。
・チリだらけ
開けるとフィルター面にチリがたくさんついていますが、ブロアで拭けば綺麗になります。このへんのパッケージや商品管理費でコストを下げているようです。
・二重構造
C-PLフィルターの様に2枚重ねになっているため若干厚みがありフィルター枠を回す事でND値を変化させます。回した感触は普通で作りはそこそこです。
・計量する
二重構造なのと67mmと大きめなフィルターなのもあり若干重さがあります。レンズによってはフィルターを付けてバランスが変わりそうです。
・可変させてみる
ND2からND400まで対応なので最小と最大でND値を可変させてみました。薄めのND2から暗くてほとんど透き通らないND400まで無事に可変しました。ただ、他の通常の価格のK&F ConceptのNDフィルターと比較してみるとND2の状態がかなり濃く、最小でND4前後ではないかと思われます。
・SIRUIアナモルフィックレンズ
SIRUI Anamorphic 50mm F1.8は横長の映画的フォーマットで撮影が出来るシルイのシネレンズです。高額だったシネマレンズを普及価格帯まで下げた素晴らしいレンズです。カメラはフジフィルムX-T30 IIでこちらも4K Log動画も撮れる素晴らしいミラーレスカメラです。
FUJIFILM X-T30 IIとSIRUI Anamorphic 50mm F1.8の組み合わせ
・X状のムラとは
可変NDフィルターはどれだけ高級であっても構造上ムラが出てしまいます。ムラが出やすい条件としては35mmより広角なレンズでND400など最大値にして絞りを絞り込んだ時です。動画だと広角レンズを使用する事が多く最近だと24mmより広いレンズが好まれるので、超広角ある場合はNDの値を最大値にせずかつ絞り込み過ぎないように使用するのがよいでしょう。
・レンズに取り付ける
フィルター枠にねじ込むだけなのであっさりと取り付けが完了しました。これで屋外での動画撮影に使用出来ます。
・ND値を可変させてみる
レンズに取り付けた状態でND値を可変させてみました。最小のND2でレンズに表記されてる文字がなんとか見える程度で、ND400になると何も見えなくなります。
・レンズキャップは付かなくなる
可変NDフィルターは構造上フィルター取り付け経より直径が大きくなるので、それまで使用していたレンズキャップが使えなくなります。基本的に1サイズ大きくなり今回の67mm経の場合は72mm用のレンズキャップが取り付けられますが、格安のフィルターだけにキャップ代わりにそのままの状態でもよいと思います。
・ジンバルに載せてみる
Zhiyun Crane M3にカメラを載せてみました。これまで全長が長いSIRUIアナモルフィックレンズを取り付けてギリギリでバランスを取れているのが、NDフィルターを取り付けたら重量オーバーでエラーを多発するようになってしまいました。運良くキャリブレーションが出来る事もあるのですが、撮影中に重みに耐えきれずエラーになる事があるので、このレンズとNDフィルターを使用する場合はより大きくパワーのあるジンバルにする必要があります。
・可変NDフィルターを使用してみて
実際に昼の晴天時の動画撮影で格安可変NDフィルターを使用してみたところ、何の問題もなく撮影が出来てしまいました。レンズが50mmでAPS-Cサイズミラーレスだと75mmになる事もありND2〜ND400のどの値であってもX状のムラなども出ず、絞りを絞っても安定していました。高級な可変NDフィルターと比べると色の違いがあるかもしれませんが、通常に撮影するだけでは全く気になるレベルではなく快適に動画撮影が出来ました。