【レビュー】Zhiyun Crane M3はコンパクトでありながらミラーレスを載せられるパワーがあるジンバルです

・ジンバルで動画撮影

動画用のデジタルカメラとアナモルフィックレンズを導入したので、揺れない動画を手持ちで撮れるようにジンバルを導入する事にしました。

・Zhiyun Crane M3

今回手に入れたのはZhiyun(ジーウン)のCrane M3です。コンパクトながらフルサイズミラーレスカメラが使用可能なジンバルです。カラーはホワイトでLEDライト機能搭載でライトのカラーも専用プレートで切り替える事が可能になっています。


コンパクトなパッケージです


専用ケースと説明書

・必ず説明書を読みましょう

ジンバルは非常に特殊な機器なので、新しいジンバルを手に入れた場合は必ず説明書をいつも以上にきっちりと読みましょう。きちんと理解したうえで使用しないと結局キャリブレーションすら出来ずに手放す事になります。


説明書は読まないと設定が出来ません

・ジンバルとは

最近YouTubeなどの動画でも見かける走ったり追いかけたりしても揺れないを撮る機材の1つです。スタビライザーやステディカムなどと呼ばれ以前は体全体で操作するなど非常に大型でしたが、モーターやバッテリーが進化したためドローンが小型化された様にジンバルも小型そして手が届く価格になりました。そこで主要メーカーはドローンで有名なDJI、今回のZhiyun、Mozaなどで、ここでも日本メーカーは蚊帳の外です。


ZHIYUNロゴ入りケース


本体と付属品

・それでも高い

それほど動画は撮影しないけどブレない動画が撮りたい方は、昔ながらの弓形のスタビライザーやU型のスタビライザーハンドルなどがあります。両方ともバッテリーを使用しないので低価格で手に入りますし、ほとんどの場合で十分と思える機能です。

・ペイロード

よくメーカーのサイトで対応3kgまでなどと書いてあるジンバルのペイロードですが、カメラとレンズが3軸がどれだけ中心に近くバランスが取れるかが重要で目安にしか過ぎません。そのためZhiyunなどでは現在ペイロードの表記をしていません。例えば全長が長い1kgのレンズよりコンパクトな2kgのレンズの方がバランスは中心寄りでモーターに負荷がかからずジンバルでの使用は可能だったりします。Crane M3より大型のジンバルはこれを考慮してカメラ全体を後ろに下げられる範囲が大きく取れるようになっています。今回のCrane M3もフルサイズ向けと書いてはありますが、カメラをそれほど後ろに下げられないためコンパクトなレンズ向けのジンバルになります。


白いジンバルは目立ちます


全てが揃っています

・キャリブレーションは難しくない

設定が難しいとよく聞くジンバルですが、はっきり言うと理解さえしていれば非常に簡単です。3軸をフリーにしてあるジンバルにカメラを取り付けた状態で手を離して動かなければよいだけです。要はヤジロベイなので3軸(+カメラ上向きにした時も)で揺れても元に戻るようにするだけです。設定はミリ単位で必要などと脅かす人も居ますが、若干ずれていても本体側で吸収してしまうので(バッテリーは食いますが)それほど詰めなくても動いてしまいます。心配な方はYouTubeなどの説明動画を見るとよいでしょう。

・シンプルな構成

基本的にはジンバル本体と三脚グリップ、カメラ取り付けようプレート(とネジ)があれば使用出来てしまいます。ジンバルはモーターを使用して細かい動きを制御する精密機器なので持ち運ぶ時は専用ケースに入れるか衝撃に強いカメラバッグなどに入れましょう。


本体、ケーブル類、三脚グリップ、取り付けプレート

・接続ケーブル

各メーカーのデジタルカメラに接続するケーブルが付属しています。対応のデジカメだと撮影スタートを含む細かい設定がジンバル側から可能になります。LEDライトの色を変更するプレートも同じ箱に同梱されています。


ケーブル類は紙の箱に入っています


各メーカーのカメラの接続ケーブルとLEDライトのカラープレート

・本体を見てみる

コンパクトかつ軽量な本体ですが、細かいコントロールを可能にするために数多くのボタンやダイヤルなどが付いています。設定関連は液晶画面で可能ですが、LEDライトなど付いている機種なので、全ての操作を手元を見ずに出来るよう慣れるまでは時間がかかります。


本体右側


本体左側


液晶モニターとジョイスティックなど操作部分


スイッチと接続ポートなど


1/4ネジ穴とLEDライトのコントロールダイヤル


コントロール用ボタン

・三脚を取り付ける

グリップがあるから三脚は必要ないと思われがちですが、キャリブレーション設定する時に平坦な場所に置く必要があるので三脚を取り付けます。撮影時も両手持ちの方が安定するので三脚部分はグリップにもなっているので取り付けておいた方がよいでしょう。


グリップ底面にネジ穴があります


三脚グリップを取り付けました


脚を開いて安定させられます

・セットアップをする

ジンバルを使用出来る状態にするにはケースに入れる形態から回転部分をカメラを載せられる方向にする必要があります。この状態では各軸をロックするスイッチでロックしていて、設定時にはロックをはずして各軸をフリーにする必要があります。


前側から


左側から


右側から


上部後ろ側から


上部前側から

・USB-C充電対応

Crane M3本体は使用中でもUSB-C経由で充電する事が出来ます。そしてCrane M3とデジタルカメラを別途接続するとCrane M3経由でデジタルカメラの充電も出来てしまいます。これでデジタルカメラをジンバルから取り外しバッテリー蓋を開ける必要がなくなります。


AukeyのPD対応モバイバッテリー


USB-Cポートに接続します


充電中です

・FUJIFILM X-T30 II

Fujifilm X-T30 IIは4K Log撮影対応のコンパクトながら非常に機能満載の素晴らしいカメラです。レンズはXF 18mm F2と組み合わせてまずはジンバルの動作確認を含めて設定をしてみます。結果から書くとCrane M3はコンパクトなレンズとの組み合わせであれば快適に使用が出来る素晴らしいジンバルです。


レンズはXF 18mm F2 Rです


専用プレートをカメラに取り付けます

・ジンバルを設定する前に

購入時はまずカメラを載せて設定方法を確認でよいと思いますが、実際の撮影前の設定時はフィルター、フードやケーブルなど撮影時の状態にしてレンズキャップなどは外した状態で行う必要があります。屋外で設定する場合は水平なテーブルや椅子などの上でキャリブレーションを行いましょう。


キャリブレーションをしました

・設定方法

設定はまず全ての軸をロックした状態でカメラを載せて、軸を1つずつフリーにしながら前後左右と動かして全て軸がフリーの状態で安定させます。最初は時間がかかるのでゆっくりと確実にやり、慣れると時間もかからずすぐ終わるようになります。

  1. カメラを前後に動かして安定させる
  2. レンズを上に向けた状態で前後させて安定させる
  3. カメラの向きを元に戻して左右を動かして安定させる
  4. 本体ごと横に傾けて全体を前後させて安定させる
  5. ジンバルの電源を入れて自動キャリブレーションをする


使用可能になりました


右側から(動かした後にカメラ位置をリセットしていません)


左側から


上部左側から

・ロゴが光る

ヒップスター向け商品か使用時にはM3のロゴが光ります。そもそも本体が白でかなり目立つのでありなのでしょう。


M3と光ります

・液晶画面

液晶画面で各種設定が可能です。基本的にはジンバルのキャリブレーション、モーターのパワー、使用時のバランス確認をよく使用するかと思います。アプリのと接続して使用できる機能もあるのでアプリの設定はしておきましょう。


細かい設定が可能です

・アプリが優秀

日本のデジタルカメラメーカーのアプリはどれも酷い出来ですが、さすがに世界戦略で商品を作っているだけにZhiyunのアプリは優秀で簡単に本体とスマートフォンを接続が出来ます。しかも本体のファームウェアのチェックが入って古い場合はアプリ経由でファームウェアのアップデートが出来てしまいます。(FUJIFILMのデジカメなら同じ事が可能です)


アプリ経由でファームウェアアップデートが可能

・SIRUI Anamorphic 50mm F1.8

インディ映像作家向けにシルイが発売したアナモルフィックレンズです。通常よりワイド画面で縦長のボケと横に広がる青い閃光フレアが特徴です。4K log撮影のためにX-T30 IIと組み合わせましたが、レンズはかなり大きめなのでCrane M3とバランスが取れるか確かめてみます。


プレートはそのままでレンズを取り替えました

・バランスは取れないが使える

Sirui 50mm F1.8は重めのレンズでX-T30 IIに取り付けた状態だと細かい調整でギリギリで使用が出来ますが、レンズが前が下がった状態でキャリブレーションをする必要があります。これはCrane M3自体のモーターのパワーは十分なのですが、コンパクトな機種のためカメラ全体を後ろに下げる事が出来ず前よりのバランスの状態にしかないからです。


カメラをこれ以上下げる事が出来ません

・SIRUIアナモルフィックレンズを使う場合の注意

Sirui 50mm F1.8をX-T30 IIに取り付けた状態でCrane M3に載せて使用する場合はレンズ単体ならなんとかバランスが取れますが、日中の動画撮影に必須の可変NDフィルターを取り付けるとギリギリでキャリブレーションが出来る時もるものの動作も安定せず操作中にエラーが多く出るようになるのでおすすめしません。他にも長めのズームレンズや重めの単焦点レンズなどを使用する場合も同様です。


バランスが前よりになり過ぎています



・バッテリーがもたなくなる

バランスを無理に取っているレンズを使用している場合はジンバルを使用時にモーターのパワーを常時使っているためバッテリーライフが非常に短くなります。ジンバルにある液晶モニターでバランスの項目でどれだけのモーターパワーを使っているか確認が出来ます。静止状態でほとんどモーターを使用していなかったらよいバランスが取れていると言う事になります。


無理にモーターが動き続けています

・おすすめジンバル

XF 18mm F2などコンパクトなレンズであれば全て軽量コンパクトでまとまりCrane M3は素晴らしいジンバルです。もしSIRUIアナモルフィックレンズのように大きめでバランスが前寄りになるレンズをミラーレスカメラと組み合わせて使用する場合は、現在使用している同じZhiyunのWeebill Sがおすすめです。Weebill Sはパワーもあり比較的安価でフルサイズセンサーのミラーレスと重めの含めて動かせる余裕があります。他には新型のため価格が上がりますが、Weebill 2やDJI RONIN RSC 2などがあります。

【レビュー】Zhiyun Weebill-Sは大きいレンズでも安定してパワーのある最高のジンバルです

・カメラの充電が可能

付属のUSB-Cケーブルで接続してカメラの充電が可能になります。カメラの機種によっては撮影開始などカメラ側のコントロールなどが可能ですが、X-T30 IIは対応していないため充電だけ出来ます。


USB-Cケーブルを接続します(ジンバルの充電用のポートとは別です)


カメラ側のUSB-Cに接続します

・Comicaピンマイク

正規店のキャンペーンで購入したのでComicaのピンマイクが付属していました。カメラ内蔵のマイクは風にも弱く指向性も広すぎるのでインタビューを撮影する方には別体式のマイクは必須でしょう。


コミカのピンマイクが付属していました


説明はとにかく読みましょう


本体と付属品


マイク本体


X-T30 IIのマイク取付部


撮影の準備が出来ました

・動画撮影をしてみて

Zhiyun Crane M3はコンパクトでありながらパワーもありミラーレスデジタルカメラとコンパクトなレンズの組み合わせであれば余裕で安定した撮影が出来てしまいます。コンパクトなだけにスマートフォンを使用しての撮影も楽しめますし、コンパクトなままカバンい入れておく事が出来ます。使用する機材とのバランスを考えてジンバルを導入して動画撮影を楽しみましょう。


SIRUI 50mm f1.8 1.33X アナモルフィックレンズ 【国内正規品】
シルイ



【レビュー】Zhiyun Crane M3はコンパクトでありながらミラーレスを載せられるパワーがあるジンバルです」への3件のフィードバック

  1. 初めまして、こんにちは。
    記事を読ませて頂きました。大変参考になりました。ありがとうございます。

    私も先日このジンバルをAmazonでポチり、届くのを待っているところです。

    そこで1つお尋ねしたいのですが、私はα7cにTamron28-75をつけて利用しようと思っています。このような場合、ズームリングを回転させた結果、28ミリ付近と75ミリ付近(実際にはせいぜい50ミリ付近までで運用するつもりですが)では重心の位置が少し変わってくるように思います。

    こうしたズームレンズをつけたカメラでジンバルのバランス調整をする際の留意点はどのようなことでしょうか。

    大変恐縮ですがご教示いただけますと幸いです。どうかよろしくお願いします。

    1. ジンバルはカメラを水平に保つためにモーターの力を使用します。
      最初の設定をきっちりするとより省電力で使用が可能になると言うだけで、あまりシビアに考え過ぎる必要はないです。
      ズームレンズでしたら1番使用するであろう領域にしておくか、常時モーターパワーを表示して1番負荷がかからない状態を確認するのが良いかと思います。

      1. ご返答ありがとうございます。質問の後ジンバルを手に入れカメラの調整したところ、そもそもα7c&Tamron28-75を乗せると調整が難しいというか、できませんね。レンズがどうしてもおじぎします。強引にモーターの力で使うしかないようです。実際の撮影で実用可能なのか、どんな問題が出るのか、今後試みてみます。

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