– Yashica Electro 35GXをメンテナンスする
手に入れて電池を入れたら動き出しましたが、せっかく撮影するなら綺麗なファインダーと各部がスムーズに動いた方がよいので、クリーニングとメンテナンスをする事にしました。ファインダーを清掃する時はこのカメラの持病とも言える、シャッターレバーの巻取り不良とガラス部分の脱落を直した方がよいので、その手順などを含めて書いていきます。
– ファインダー清掃
Yashica Electro 35GX(エレクトロ35GX)はフィルムを使用するレンジファインダーカメラですので、撮影時にはファインダーを覗きその中の二重像を合わせる事でフォーカス(ピント)を合わせる必要があります。このファインダーと二重像が曇ると非常に撮影に支障をきたすので撮影前にクリーニングをする事にします。レンジファインダーカメラは一眼レフカメラよりファインダーが明るいのが特徴ですが、エレクトロ35GXのファインダーは元々青みがかって少し暗いので、より綺麗にしておいた方がよいでしょう。
エレクトロ35GXの詳細や手に入れる際の注意などの記事ははこちらです
– 巻取り不良
エレクトロ35GXはシャッターのチャージレバーが渋くなる事が多く、これもこのカメラの持病と言える部分でしょう。このカメラも他の機関は非常に好調でしたが、このシャッターのチャージの時の巻取りが非常に渋くなっていました。同じようなサイズのミノルタハイマチックEなどと比べると4年ほど発売時期が新しいのもありかなりプラスチックのパーツが多いのに気づきます。これらのパーツのオイルやグリス切れでその巻取りの渋さが出るので、各部に注油などをするとシャッターチャージの巻取りがスムーズになります。
– モルトがあります
トップカバーを開けると露出警告のランプの赤と黄色のカバーの間にモルト(遮光材)が貼られています。ほとんどのエレクトロ35GXはこのモルトが40年以上貼り替えられていないので、トップカバーを開ける機会があったら同時に交換する事をおすすめします。使用されているモルトは少量ですが、ギア類が近くにあるので脱落してギアなどに噛むと故障の原因などになります。
レンズ側から、赤と黄色の麦球の間にもモルトがあり劣化しています
– 配線が短い
どのカメラも大体そうですが、配線はギリギリの長さで作られている事が多いです。ミノルタハイマチックEはかなり長めの配線ですが、コニカC35などは組み立てが優先でメンテナンスをする事は考えてなかったような作りです。半田をはずせばいいだけですが、基盤や端子にも寿命があるのでなるべく半田は使わず済ませたいところです。
– 配線を伸ばす
エレクトロ35GXのトップカバーにもストロボのホットシューのところから配線が出ていますが、これが配線をネジ止めした基盤にまとめられていて、そのネジをはずすだけで配線がメンテナンスに十分な長さになるうまい作りです。
– ファインダーを清掃する
配線も十分な長さを確保する事が出来たので、これでファインダーを綺麗にすることが出来ます。ファインダーをクリーニングするにはファインダーのカバーをはずします。ここで重要なのは前後のガラス(レンズ)に挟まれている斜めのハーフミラーやその横のパーツなどは磨かない事です。まずはブロアでホコリやゴミなどを飛ばしてから、前後についているガラスはレンズクリーニングと同様のレンズクリーニングペーパーやリキッドで磨いてしまって構いません。ハーフミラーは汚れていない限り触らず、触るにしても軽くホコリを取る程度にしましょう。磨いてハーフミラーが削れると二重像が映らずフォーカスを合わせる事が出来なくなります。私はレンズやガラス部分の清掃にはフジフィルムのレンズクリーニングペーパーとリキッドを使っています。これはカビの落ちもよくペーパーも毛羽立たないのでファインダーにホコリが残る事なく綺麗に出来ます。
– ガラス脱落
エレクトロ35GXの持病とも言えるファインダーのレンズ側のガラスの脱落です。これは設計上狭いスペースに薄くしか接着剤がついていないため、クロスで拭いた時などに簡単にはずれてしまいます。しかも製造から40年以上経つと接着剤が劣化するので、より簡単にガラスが脱落してしまいます。
– ガラスをはずす
そのまま接着剤を追加して取り付けてもよかったのですが、これが非常にせまいところに左右だけついている作りなので、きちんと清掃して接着し直す事にしました。
– ガラスを接着する
はっきり言うと設計不良と言えるくらいので作りで接着剤をつける場所すらほとんどありません。元は黄色の接着剤だったのでより目立たないように透明なGクリアで接着しました。ガラスの上下は外から見えない様に薄くつけると強度が増しますが、すぐにはみ出てしまうくらいのスペースしかないので慎重に接着しましょう。しかもケース側のガラスをおさめる部分とガラスの形状が違うのでクランプできちんと押さえないと接着させづらいので、クランプを用意しましょう。直接クランプをかけるとガラスが割れてしまうので、あて布などをした上でクランプをかけましょう。
– 断線しました
これでトップカバーをはめて終了と思ったら基盤側の半田が取れていました。これは接着剤同様40年以上の年月でワイヤーも半田も劣化しているのでよく起こる事です。ここは慌てず古い半田を取り除き、新たに半田付けをしてより確実に配線します。
– 半田付けをする
基盤をはずして半田をし直します。ファインダー部分はガラスなので半田が付いたりしないようにクロスなどをかけて養生しておきましょう。線材自体も40年経って劣化しているので、ワイヤー部分を剥く時もワイヤーストリッパーを使用しましょう。ワイヤーストリッパーはベッセルのが1本あればまず事が足ります。
– 完成
基盤を再度取り付けトップカバーを取り付けます。トップカバーは取り付けにコツがあり少し後ろ側に倒してスイッチがひっかからないようにします。組み立てたら電池を入れ全ての機能が動くかを確認して完成となります。パーツをばらしたり組み直したら必ず動作確認を最初からする癖をつけましょう。
– まとめ
エレクトロ35GXはシャッターチャージのレバーの動きが悪くなる持病があるので、トップカバーを開ける時にファインダーの清掃も同時に行ってしまうのがよいでしょう。トップカバー内のスペース的にも余裕がありメンテナンス性も良いのでこの機会にファインダー清掃を試してみてはどうでしょうか。