– おすすめフィルム
以前は100円ショップやワゴンセールで叩き売られていたカラーネガフィルムもすっかりなくなってしまい今ではどれも高級な物となってしまいました。フィルムカメラの本体の値段は今や底値と言っていいほどですが、フィルムが無い事には撮影が出来ません。どうにか生き残っているフィルムの中で撮影に十分使えるクオリティで格安と言われる部類のを実際撮影した上でどの様な傾向かなどを含めて書いていきます。
– フィルムの現状
フィルムも一般的なライカ版と言われる35mm(135)や中版カメラ用の120、ポケットカメラ用の110などがありますが、ここでは通常の35mmフィルムに絞ってすすめていきます。これは普通の一眼レフやコンパクトカメラなどに使われているフィルムでお手持ちのカメラのフィルムはどのタイプかわからない方はカメラショップなどに聞けば教えてもらえます。通常はとんでもなく大きいカメラか小さいカメラ以外は35mmと思って間違いないです。中版カメラやポケットカメラ用のフィルムは探せばまだありますが、APSフィルムは完全に廃盤なのでAPSフィルムを使用しているカメラだけは手を出すのはやめておきましょう。
– カラーネガフィルム
手に入れたばかりや修理したてのカメラで気軽に使えるのはやはりカラーネガフィルムでしょう。ほとんどのカメラ屋量販店で手に入りますし、現像やプリントも即日や翌日仕上げで受け付けてくれます。とにかくすぐに結果が知りたい方には最高でしょう。フィルム自体もクラシックカメラと言われるカメラが発売された頃よりフィルムも現像の品質も格段に上がっているので、撮影ごとに結果が違う事もありません。ただ、プリントに関しては同時プリントなど一度デジタルにスキャンした物をプリントしているだけなので、フィルムが主流だった頃のようにはプリントされません。なので、もしプリントをする場合はまず現像とスキャンをCD/DVD化してもらい結果を確認した上で気に入った写真だけを別途プリントする事をおすすめします。
– おすすめカラーネガフィルム
フジフィルムのフジカラー業務用フィルムが値段も手頃で品質も問題ありません。(表記は記録用ですが業務用と呼ぶ人が多いです)と言うか格安で縛るともうこれくらいしか選択肢がありません。比較的大きなカメラチェーン店などで売っています。1本ばら売りと10本まとめて売ってるところがありますが、10本まとめても値引きがないところがほとんどです。私は以前はコダックのフィルムしか使ってませんでしたが、今は修理したカメラの試写や動作確認にはこのフィルムを使用しています。
フジフィルムのフジカラー業務用フィルムISO100 36枚撮り
– 何枚撮りがよいか
フィルムは大体24枚撮りか36枚撮りがあり36枚撮りは若干高めですが、通常の量販店やラボに現像を出すと現像代はどちらも一緒なので36枚撮りを選んだ方がお得だと思います。フィルム撮影は当たり前ですがその枚数以上は撮れないので、撮影のリズムを同じにするために36枚撮りで慣れていたら、その枚数のフィルムで取り続けた方がよいと思います。
– 感度はどうするか
大体のフィルムがISO100か400を用意していると思いますが、初めてフィルムカメラを使う場合は若干割高ですがISO400を選ぶとシャッタースピードが稼げるので失敗写真が減ります。昼間で数段露出オーバーだとしてもネガフィルムの場合は問題ありませんのでそのまま撮影出来ます。カメラに慣れてきて意図した撮影でよりよい結果を残したい方はISO100を選ぶとよいと思います。低感度になると同じシャッタースピードでもその分絞りを開ける方向になるので、より被写界深度が狭くなります。ただ、デジタルカメラと同様に以前のように高感度のISO400のフィルムだからノイズが多過ぎると言う事もないので、常用をISO400にしている写真家の方も多いです。古いカメラですとフィルム感度はASA(もしくはDINの変換表ど一緒に)と表記されていると思いますが、世界標準規格としてISOにまとめられASA=ISOなのでカメラのASAをフィルムのISOの値に設定するだけです。英語ではフィルム感度はFilm speedで高感度フィルムはHigh speed filmですので、Sensitivityとか言うと意味は汲み取ってくれるかもしれませんが、何を言ってるんだと思われるでしょう。
– 使用期限と保管方法
フィルムを手に入れる時には必ず箱に明記されている使用期限を確認しましょう。上の業務用フィルムであると期限が数年後になってる事が多いのでまとめて手に入れても大丈夫でしょう。フィルムは期限を過ぎると色が違う色に転んだりするためわざと期限切れフィルムを使うアーティストなども居ますが、通常の使用では期限内に使う方がよいでしょう。保管は通常のカラーネガフィルムであれば常温の部屋の中であれば問題ありません。高級なフィルムやポジフィルムなどでは常温ではなく冷蔵などするのが一般的ですが、メインのフィルムにするのであれば1本ずつ購入してその都度使い切る方が楽でしょう。
– 現像に関して
大手量販店や街のカメラ屋、もしくはプロラボに頼むにしても今やほとんどの所が自分のところでは現像していないのが現状でしょう。カラーネガフィルムであれば即日や翌日仕上げのところが今でもありますが、ポジフィルムやモノクロフィルムですと現像だけで3〜4日、スキャンしてもらうと計2周間かかったりするようになりました。ポジフィルムやモノクロフィルムで撮る場合はその現像期間を見越してまとめて撮影して現像に出したり、焦らずのんびりと撮影するとよいでしょう。モノクロフィルムであれば比較的自家現像も楽ですので、現像を自分でやるのを楽しみにするのもよいと思います。
– カラーポジフィルム
ポジ(リバーサル、スライド)フィルムと言われる現像したフィルムの画層の色がそのままに出て見たままに確認が出来るので出版やスライド投射用などに使われていました。強いコントラストや色表現が良いのですが、現状あまりにも値段が高すぎるので通常バシバシ撮るようなスタイルではなく、お気に入りの1台のカメラでゆっくり撮影する方向けでしょう。その中でもロモグラフィーが出しているXpro Slide 200はかなり安価なのですが、通常のE6現像だと青っぽい色かぶりが強くポジフィルムそのものとしての魅力は低いので、商品名にあるようにクロスプロセス専用と考えた方がよいでしょう。あとは通常のフィルムは36枚撮りと言っても38〜9枚ほど撮れますが、このXpro Slide 200は36枚ギリギリしかフィルムが巻かれていません。英語でポジフィルムをPositive filmと言ってもほとんど通じないので、海外でフィルムを探したり現像してもらう時はSlide filmと言いましょう。
– モノクロフィルム
カラーネガでどう撮ってもポジフィルムのようには撮れませんので、これは諦めるしかありませんが、モノクロフィルムはいまだ健在で比較的どれもまだ許せる価格帯で品質もとても安定しています。モノクロフィルムは特殊なのを除いてほとんどがネガフィルムです。クラシックカメラが好きな方はそのレンズが作られた頃に中心だったモノクロで撮るのも趣があります。最近はフジフィルムの業務用を現像後にモノクロ化する写真家も多いようですが、やはりモノクロはモノクロ専用フィルムで撮って欲しいものです。モノクロはモノクロームの略で英語でMonochrome filmと言っても通じないわけではないですが、Black and white filmと言う方がより一般的で写真をやらない方でも理解してくれるでしょう。
FomaのFomapan 100 Classicと200 Creative
– AGFAのモノクロフィルム
AGFA(アグファ)のAPXは比較的安価で手に入りやすいモノクロフィルムです。スタンダードなモノクロフィルムと画作りで、レンズ自体のコントラストが強い場合や細かいトーンの写真などが好きな方には良いと思います。アグファはよく工場や作っている会社が変わりすぐ色や描写の傾向が変わるのでもしフィルムが気に入ったらまとめて手に入れておく事をおすすめします。同じアグファのCT100 Precisa(カラーポジフィルム)はクロスプロセスで青くころび面白かったのですが、工場移転の度に色が変わって残念な状態でした。今は昔のCT100 Precisaの色にに戻ってるようなので、試してみるのもよいと思います。
– おすすめモノクロフィルム
カラーネガフィルムでも撮影はするのですが、最近のカラーポジフィルムの現状もありモノクロフィルムで撮影する機械が増えました。その中でもチェコの会社であるFomaのモノクロフィルムはどれも安価で画作りも面白くおすすめです。特にISO100の強いコントラストは他のフィルムと違い非常に魅力的です。FomaのFomapan(フォマパン)は感度ごとに全く違うフィルムかと思えるほど傾向が違うので好みにあったフィルムを探すのも面白いと思います。
– Fomapan 100 Classic
Fomapan 100 Classicは非常に気に入っているフィルムの1本でコントラスト好きには最高のモノクロフィルムです。多少暗部が潰れてもコントラストで画を作っていきたい方にはとてもおすすめです。レンズの相性は考えた方いいですが、暗部が通常だと黒つぶれする状況でもディテールが損なわれないレンズだとより素晴らしい描写をします。特にコンパクトカメラや若干レンズ性能が落ちる場合でも、もう一度メインで使ってみよかと思ってしまうくらいコントラストでカバーしフィルムの個性が強く出てきます。そしてFomapanの中でも1番の低感度なので低価格でもあります。
– Fomapan 200 Creative
Fomapan 200 Creativeは100とは全く違う傾向でコントラストは強くなくかなりフラットな描写をします。細かい描写やトーンを求める方は100よりこちらの200がよいでしょう。増感してもそれほど個性が出てこないので、そのままISO200のフィルムとして使用した方がよいでしょう。値段もIOS100とISO400の中間です。
– Fomapan 400 Action
Actionと言うだけに動いている対象や暗い時に活躍するISO400の高感度フィルムです。200 Creativeとはまた違うコントラストで良い描写をします。このフィルムをISO1600の増感+2で撮影するアーティストの方も多いので、増感をメインに撮影する方にもよいと思います。
– まとめ
以前と変わりかなりフィルムの数も減りポジフィルムがやプロ用のカラーネガフィルムなどは値段も上がる一方ですが、探すとメインに使ってみたくなるようなフィルムが通常の価格帯でまだ残っています。写真は撮る度に新しい発見があり撮影自体も上手くなり、フィルム撮影自体を理解する近道でもあるので、比較的安価なフィルムを数多く使って撮影をしてみるのはどうでしょうか。