
ページ1:クリーニングと特殊工具
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・動作確認用の電池
セレン式の露出計は電池不要ですが、EEやAEのカメラには自動露出のために電池が必要になります。比較的新しいカメラであればSR44やLR44で動きますが、かなり古いカメラとなるとMR-9(625)が使われている事が多く、そのままでは使用する事が出来ないのでここでは特殊な電池も含めてまとめています。(ミノルタSR-T101のように加工無しにうまくLR44が入って動いてしまうカメラもあります)
・MR-9(H-D)アダプター
古くはローライ35も露出計内蔵のためMR-9(H-D)を使用していますし、古いキャノンの一眼レフのEFなどにも使われていてカメラ修理ではまずこの型の電池が必要になる事が多いです。MR-9の変わりとして現在でも販売されている同じサイズの625電池も使用は出来ますが、現在のボタン電池の電圧1.5Vですが、当時の電圧は1.35Vなためカメラによっては(回路によります)露出計の針が1.5段ほど大きく振れてしまいます。そこでMR-9の電圧変更型のアダプターとSR43を使用すると1.5Vの電池を1.35Vで使用する事が出来ます。当時と同じ動作を求めるのであればMR-9アダプターは揃えておきましょう。たまにジャンクカメラに入っている事もあるようなので、アダプター目的にジャンクカメラをチェックしてみるのも面白いかもしれません。
・整備済みのカメラの罠
ローライ35などを整備済みで販売しているクラシックカメラ専門店も今では625バッテリーの1.5Vを基本に露出計を合わせている事が多く、MR-9で電圧を下げてしまうと露出計の針が1段以上振れず露出オーバーの値を指してしまう事があります。
・MR-9アダプター使用の注意
MR-9アダプターは1.5Vの電池を1.35Vに減圧して当時と同じ電圧で使用出来るので、どのカメラにでも使用出来ると思われがちですが、これが困った事にMR-9アダプター経由で使用すると動かない機器などがあります。
・HM-Nアダプター
古いカメラのバッテリーにはHM-N(NR52)が使われている事も多くあります。ミノルタハイマチックEやヤシカエレクトロGXなどに使用されていてLR44で代替えが効かないのでアダプターの使用が必須になります。たまにアルミホイルを丸めて使用する方がいますが、アルミホイルは通電はしても電気用ではないため高温になるとガスが発生し電池ボックスを腐食させ最悪燃えるので絶対にやめておきましょう。クラシックカメラの電池ボックスの腐食はこのアルミホイルが原因な事も多いです。

・格安ボタン電池
アダプターが必要な電池だけでなく、修理をしていると動作確認でボタン電池を多用します。回路がショートすると電池は一瞬でなくなるので、高級ではなくシート式の格安なボタン電池を用意すると修理のコストもかなり下げられます。ボタン電池のサイズとしてはより電圧が安定している酸化銀電池SR44、より安いLR44(あまりおすすめはしません)、MR-9アダプターに使用するSR43(LR43)あたりを用意しておけば幅広く対応出来ます。LR44、LR43は100均でも手に入りますが、まとめてシートで購入する場合はオンラインストアの方が割安になります。
・撮影にはSR電池
SR44とLR44はサイズは同じですが、特性が全く違います。LR44は通常のアルカリ電池のため使用し続けると段々電圧が下がり、下がりきったらカメラで使用出来なくなります。つまりは電圧が下がりながらなので、露出計の針が段々と振れなくなりながら使い続ける事になるので動作確認用に使用するのにとどめたほうがよいです。SR44は酸化銀電池で1.5Vの電圧が下がる事なく安定したまま使い続ける事が出来て、電池がなくなると一気に電圧が落ちるので露出計の針がより安定する事になり本番の撮影ではSR電池を使うのを強くおすすめします。この理由からもカメラではSR44を指定している事が多く、LR44でカメラ自体は動くからと100均電池のみで使用するのはやめておきましょう。SR44でもSR43でもカメラで使用する場合はマクセルのゴールドボタン電池が安定度も高くおすすめです。そもそも単純なAEを動かす程度ではSR電池でも数年は持ちLOMO LC-Aなどは一生電池交換の必要がないくらい電池はもちます。
マクセルの金電池がカメラには最適です
・特殊なボタン電池
カメラもMR-9やSR44の1つだけ必要だったのが段々コンピューター化されキャノンAE-1などではより大きな電池のPX28などが採用されています。PX28も現在では4SR44(4LR44)など4つのSR44が入っている電池に置き換えられていて大手家電量販店でもてにはいります。4SR44Pや4LR44Pは面白い作りで分解すると単純にSR44(LR44)が4つ直列に入っているだけだったりするので、マクセルのSR44を手に入れるには4SR44から取り出す方法もあります。
・リチウム電池
PX28からより時代が進むとオートフォーカスの時代でより電力が必要になりかつコンパクト化のためリチウム電池が使われだします。コニカBig MiniなどではCR123Aが使用され、より新しくコンパクトな機種のリコーのGR1などではより小型な電池のCR2が使われています。リチウム電池の問題は高価な事でBig MiniなどのコンパクトカメラではCR123Aのバルク電池などで動作確認をすると無駄なコストが抑えられます。充電式のCR123AやCR2もありますが、容量が少ないので撮影にはマクセルのリチウム電池をおすすめします。
・まとめ
カメラの整備や修理では適切な工具を使用すると、パーツの破損を防ぎ成功の確率が大きくなります。正しい電池を使用するとより確実な動作を得られてエラーを防ぐ事が出来ます。無理に手持ちの工具で壊すよりは大事なカメラとレンズですので、まずは工具から揃えてしまうくらいがよいでしょう。