【カメラ修理】ミノルタ Hi-Matic-EのISO/ASA設定リングのプレートの脱落を直しました【minolta】

- minolta Hi-Matic Eの修理

撮影しているとレンズの沈胴内からカラカラと音がしはじめ調べてみると、ISO/ASA設定リングのプレートが脱落していました。これは持病とも言っていいトラブルですが、それほど直すのは大変ではありません。今回は2台まとめて直したので修理の手順などを含めて書いていきます。

– ISO/ASAリングが脱落


minolta Hi-Matic E(ハイマチックE)は1971年発売ですので、調子がよく動いていたとしてもどれも40年以上経つ相当古い物となります。ネジで付いているようなメカニカルなパーツは実際脱落したりする事はほとんどありませんが、古いクラシックカメラなどでパーツ脱落の1番の原因は接着剤の劣化だったりします。このISO/ASA設定リングの測光用の穴が開いたプレートも接着剤で貼り付けてあるため接着剤が劣化するとレンズ沈胴内で脱落してしまいます。

– どうなってしまうのか

ISO/ASA設定リングのプレートが脱落すると中で脱落したパーツがひっかかりISO/ASAの設定やフラシュのレンズ下にある設定レバーが動かなくなり設定が変更出来なくなる場合があります。測光用窓の後ろにある穴のサイズでISO/ASAの設定値にあった光量を調節しているので、露出が合わなくなります。シャッター自体は切れてフォーカス(ピント)リングは動いてしまうので気づかない場合があります。


沈胴中でプレートが脱落してしまいました

– 確認方法

カメラを振って音がするようであればISO/ASA設定リングのプレートがはずれているのがすぐわかりますが、そのプレート自体が既に他のパーツにはさまっていると気づかない事があります。その時はレンズ沈胴の上部に見える測光窓をのぞいて、ISO/ASA設定リングをまわしてみてください。もし測光窓の中で小さい穴が開いたプレートが動いていれば問題ありますが、とくに変化がない場合はパーツが脱落しているので修理が必要になります。

ハイマチックEのレンズ清掃の記事はこちらです

– パーツを取り外す

レンズ前面にあるパーツを順番にはずしていけば簡単にISO/ASA設定リングのプレートまでたどり着けます。工具はカニ目レンチとプラスドライバーのみなので、それほど難易度も高くないです。それ以外ですとプレートを接着するのに接着剤が必要になります。ちなみに撮影中にトラブルが出たのでストラップが付きっぱなしですが、修理などをする時にはストラップをはずしたほうが安全です。


カニ目レンチでリングをはずすとパーツがはずれます


沈胴内はそれほど複雑ではありません

– プレートを探す

パーツをとりはずしていくと丸くて薄いメタルのプレートがレンズを取り囲むようについていると思います。これにISO/ASA設定用のプレートがついているのですが、脱落している場合は奥まったところに入り込んでいたりします。無理に各設定のリングなどを回すとパーツを壊してしまう可能性があるので、回らないパーツは無理に回したりしないようにしましょう。


左から2番目のリングでISO/ASAを調整しています

– パーツを清掃する

接着を確実にして長持ちさせるために、見つけたプレートなどの接着剤がついていた部分は綺麗にしましょう。古い接着剤を取るには無水エタノールなどが便利です。この時にプレートに開いている穴をゴミなどで塞いでしまわないようにしましょう。


無水エタノールを100均のコスメ用注射器に入れると便利です


パーツを綺麗にします

– 接着する

パーツ類が綺麗になったら接着に入ります。この時接着する部分はかなり細いので爪楊枝などの先に接着剤をつけ少しだけ塗る感じにしましょう。接着剤はあまり接着力が強すぎるとずれて付いた時にはがせなくなるので、瞬間接着剤などは使用せずGクリアーなどが接着力が強すぎずかつ十分長持ちするのでちょうどよいです。接着面は布などをあててクランプではさむとより確実ですが、どれもとても薄いパーツなのでクランプを使用する場合はパーツ自体を壊さないように注意しましょう。


いつものGクリアーです


接着部に接着剤を塗り乾かします


乾かしたらずれないようにプレートを貼り付けます

– リングを確認

プレートを取り付けたパーツをライトにかざすと穴が塞がっていないか確認出来ます。この時代の大体のEEカメラは露出設定にCdSを使用していて、このCdSに当たる光の量を調整する事でISO/ASAの切り替えをしています。コニカ C35などもこの方法ですがパーツの脱落等はしないようになっています。


この穴の大きさや数でISO/ASAの値を決めています

– 組み立て

接着したプレートが完全に乾いたのを確認したら、各パーツをばらした逆の順番に組み立てます。出来ればゆっくりやりレンズ沈胴内で接着剤からのガス発生などを防ぐためにも24時間は接着剤を乾かしましょう。ISO/ASAの設定のパーツには突起があり、それを沈胴側にあるパーツに差し込むようにパーツを置きます。パーツを置いてISO/ASA設定用のリングを回転させて置いたパーツが回転しISO/ASAの値が変わる事を確認してから次のパーツを取り付けましょう。ISO/ASAの値を変える場合は必ず左右にリングをまわしましょう。


パーツを取り付けます

– 露出調整

実はこのISO/ASA設定のためのパーツは非常によく考えられていて、このパーツを取り付ける時の角度を調整する事で露出を調整する事が可能になっています。実際はEEカメラでシャッタースピードと絞り値を正確に測定する事が出来る人は少ないでしょうが、もし露出がずれていると思う方はこのリングの取り付け角度を調整してみるのもよいと思います。


取り付け角度によって露出調整が可能



– 確認

パーツを全部取り付けたらレンズ前面からレンズの上部にある測光窓から、ISO/ASA設定の変更と共に中の光を入れる穴の大きさが変化するか確認します。確認出来たらレンズの下側にあるフラッシュ設定用のリングがちゃんとスムーズに動くかを確認して終了です。


レンズ上部み見えるのが測光窓です


完成しました

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