・ピンホールレンズで撮影する
機械式カメラでマニュアル撮影していてより簡素なピンホールレンズで撮影してみる事にしました。ピンホールレンズはF値などが特殊なので撮影方法などもまとめました。
・Risingピンホールレンズ
今回使用するのはRising(ライジング)のピンホールレンズの3種類です。取り付けマウントはミノルタSR(MC、MD)マウント用になりミノルタの一眼レフカメラのSR-T101、XE、XD、X700などで使用する事が出来ます。他にもキャノンEF、FD、Nikon F、Pentax K、Leica M、R、Hasselblad V、ソニーデジタルカメラに使えるA、Eマウント用もあります。
・3種類のピンホールレンズ
同じRisingのピンホールレンズは3種類が出ていてそれぞれ効果が違います。通常画角のスタンダード、よりワイドな画角のワイド、ワイドかつ周辺減光がより暗く出るワイドVの3種類です。作りはとてもよくレンズ部分は金属製で、ボディキャップレンズなどと同様にキャップ代わりにカメラにつけっぱなしにする事も出来ます。各メーカーからボディキャップレンズなども出ていますが、ボディキャップを使用してピンホールレンズや写ルンですレンズを取り付けたりして自作してみるのも面白いでしょう。
・ピンホールスタンダード
画角52度、フルム面(センサー)との距離(焦点)44mm、F値がF200、穴の大きさ0.22mm
スタンダードと言うだけに3種類の中でもシンプルにフラットに写ります。レンズの明るさ(F値)はF200と一番暗くなっているので、シャッタースピードはより遅くする必要があります。
・ピンホールワイド
画角63度、フィルム面との距離35mm、F値がF159、穴の大きさ0.22mm
スタンダードよりよりワイドな画角で撮れるワイド版です。スタンダード(F200)よりレンズ(穴ですが)が明るくF159になっています。画角はワイドで周辺光量を明るめに撮影したい場合はこのワイド版がよいでしょう。
・ピンホールワイドV
画角63度、フィルム面との距離(焦点)35mm、F値がF159、穴の大きさ0.22mm
ワイドVは画角やF値などはワイドと同じですが、より周辺光量が落ちるアーティスティックに撮影が出来るピンホールレンズです。LOMO LC-Aなどのトイカメラやフィルムならではのエフェクトを楽しみたいならワイドVがおすすめです。なぜVかと言うとVignette(周辺減光)の略だからです。
・ピンホールレンズでの撮影
ピンホールレンズは通常のレンズのF2.8などと比べると圧倒的に暗く手持ちではさすがに撮影出来ないので三脚が必須になります。シャッタースピードも1分を超えて長い場合は5分以上になるので、バルブに対応したカメラが必要になります。フィルム一眼レフカメラなどだと簡単にバルブに切り替えられますが、ミラーレスなどのデジタルカメラの通常撮影だとシャッタースピードは30秒までに制限されていたりするので、スマホアプリやリモートコントロールを使用する必要があります。
・シャッタースピードの目安
レンズのF値は焦点距離をピンホールの直径で割ると算出が出来るので、ボディキャップでピンホールレンズを自作する時などの計算式に使用出来ます。スタンダードの焦点44mm、ピンホール穴が0.22の場合は44 ÷ 0.22 = 200となりF200な事がわかります。F200は近似値のF256とするとF5.6より11段も暗いレンズとなるので、どれだけ長いシャッタースピードが必要か想像出来ると思います。自分で計算するのもよいですが、スマホのアプリなども出ているので活用するとより楽に撮影が出来ます。長時間露光は状況とフィルムの種類にもよるので、何度か露出を変えて撮影して傾向を掴むと思った通りに撮影出来るようになります。
レンズのF値:F1.0, F1.4, F2.0, F2.8, F4.0, F5.6, F8, F11, F16, F22, F32, F45, F64, F90, F128, F180, F256, F360, F510, F720(1段ごとに1/2の暗さになります)
スタンダードのF200の場合:快晴 3分、日陰 6分、室内 5分(ISO 100、F256として)
ワイド、ワイドVのF158の場合:快晴 1分、日陰 2.2分、室内 2分(ISO 100、F180として)
・ピンホールレンズで撮影してみて
ミノルタSR-T101にモノクロフィルムを詰めてピンホールレンズ各種で撮影をしてみました。露出は絞りが固定されているので、目安のシャッタースピードで状況に応じて調整するだけで問題なく撮影出来ました。ネガフィルムの方がラティチュードが広く露出オーバーにも強いのでスライドフィルム(ポジ、リバーサル)での撮影より調整が効きやすいです。周辺光量が落ちるのが好みならワイドVを選んで、フィルムもよりノスタルジックな写りを楽しむならFomapan 100などのモノクロフィルムを使用するのをおすすめします。