【カメラ修理】ミノルタSR-T101のファインダー清掃からモルトを張り替えてシャッタースピードを調整しました

・ジャンクカメラを修理する

レンズとセットで手に入れたミノルタSR-T101の修理を開始しています。フィルム室の清掃なでどはかなり進んでいるので、このまま撮影が出来るまで完成させてしまいたいと思います。

・これまでの経緯

ミノルタSR-T101はTTL開放測光が可能な機械式カメラでジャンクカメラとして手に入れてから露出計は動いているものの、シャッター幕が緩んでいたりと修理する箇所がまだ残っています。これまでフィルム室などの清掃までは終了していて今回はその続きとなります。

【カメラ修理】ジャンクカメラのミノルタSR-T101を使用可能にするためにクリーニングする

・トップカバーをはずす

これまでに巻き戻しクランク、シャッター巻き上げレバー、シャッタースピードダイヤルを取り外すとトップカバーを外すことが出来ます。ミノルタSR-T101は同じミノルタのXEとは違ってパーツがシンプルなので取り付け直すのはかなり楽になっています。

ミノルタXEの修理の記事はこちらです


トップカバーをはずしました

・フィルムカウンターの窓の劣化

トップカバーの内側を見てみると当たりなどはないもののフィルムカウンターの窓のクリアのパーツが取れかかっています。接着剤がかなり劣化していたのもありクリアのパーツはすぐにはずれました。日本製のクラシックカメラでよくあるのがこの接着剤の劣化によるパーツの脱落です。古い接着剤のカスなどの処理も必要になってくるので、最初にカバーなどを開ける時はパーツの脱落に気をつけながらゆっくりと開けましょう。


左側のクリアパーツが取れかかっています


接着剤が変色しています

・フィルムカウンターの窓を接着する

フィルムカウンターの窓に使用されているクリアパーツを見ると古い接着剤が付いたままなので無水エタノールを使って綺麗にしていきます。接着するトップカバー内側に残っている接着剤も剥がして接着面を確実に脱脂します。プラスチックパーツの接着には接着力が弱いGクリアなどを使用します。Gクリアで接着するとはみ出た部分も処理がしやすくカスも出にくく、かつ次回の整備の時にはがすのも楽なのでカメラ修理には1つ用意しておくとよいでしょう。


無水エタノールで清掃します


パーツを洗浄して付け直しました

・プリズムのステーを取り外す

ペンタプリズムを取り外すにはファインダー上にあるステーを取り外す必要があります。ミノルタXEに比べると基盤などがないためすっきりしていて整備はしやすいです。


プリズムステーをはずしました

・2つのCdS

ミノルタSR-T101の特徴としてプリズムに取り付けられた2つのCdSで測光をして露出を決めるユニークな作りになっています。これはファインダー内から見える景色なので上下の明暗差がある時に露出のズレがないように考えられたものです。


CdSが2つ付いています

・プリズムの腐食処理

プリズムを持ち上げると前面に見えるグレーのスポンジが取り付けられているのがわかります。モルトではないのでプリズムが腐食する事はなさそうですが、後ほどプリズムの腐食防止としてモルト(ではない素材で)の貼り替えをします。ただ、ここで不思議なのはミノルタSR-T101ではプリズムの腐食防止処理がされているのに、なぜより新型のミノルタXEではモルトを使ってプリズムが腐食するような作りになっていたのかと言うところです。モルトの方が単価が安く採用したけど、まさかプリズムが腐食するとはミノルタもオリンパス(OM-1)も考えてなかったと言う事でしょうか。


プリズムを持ち上げました(前面のグレーの部分がスポンジです)

・プリズムは外れない

ミノルタSR-T101のプリズムにはCdSが接着されてケーブルも取り付けてあるためにプリズム単体では取り外す事が出来ません。もし完全に外す場合は線材の半田などをはずす必要がありますが、ファインダーの清掃程度では取り外す事なく進められます。


プリズムにCdSが接着されています

・ファンダーを清掃する

せっかくプリズムをはずしたのでファインダーから見えるホコリやチリなどを全て綺麗にしてしまいます。フォーカシングスクリーンをブロワーで吹いたりマスキングテープを取り付けた綿棒の先などでペタペタとチリを取ると見違えるほどに綺麗になります。フォーカシングスクリーンのマット面は触って傷が付くと戻らないないので、ブロワーで吹く程度にして、ガラス面はレンズクリーニングペーパーなどで拭き取ると綺麗になります。


ブロワーの基本は吹くのではなく吸うです


ライトを当ててスクリーンのホコリなどを全て取ります

・プリズムのモルトを張る

プリズムを抑えているスポンジも腐食はしないものの古いので、ハイミロンを使用して貼り替える事にしました。モルトなどを貼り替えるとスクリーンにチリなどが落ちるので貼り終わったら再度清掃するか先にモルトの貼り替えてしまうのがよいでしょう。


プリズムに接地するモルトを張り替えました

・更に分解すると

このプリズムが入っているペンタプリズムのケース全体を分解すると全てのモルトを貼り替える事が出来ます。このモルトを交換しなくても写真自体は撮れるようになりますが、かなり大掛かりになるので別の機会にやる事にしました。

プリズムケースのモルト交換の記事はこちらです

・アイピースを綺麗にする

ファインダーの見栄えはスクリーンと共にアイピースに付いているガラス面の綺麗さも重要なのでアイピースを取り外して清掃します。ファインダーやレンズのガラス面のクリーニングにはフジフィルムのレンズクリーニングペーパーとレンズクリーニングリキッドを使用します。レンズペーパーは目が細かくガラスを傷つける事もなくリキッドはレンズのクリーニングだけでなくカビも落とすのでカメラ修理の際はセットで用意しておきましょう。


フジフィルムのレンズクリーニングペーパーとリキッド


ファインダーカバーを外して清掃しました

・これ以上は分解しない

ここから先のファインダーカバーの奥にあるシャッタースピードの針やファインダーの左に見える真鍮のスプリングと共締めのネジなどをはずすと糸が緩んで張り直す必要が出てくるのでやめておきましょう。ミノルタSR-T101に慣れると糸を引き直せますが、このスプリングとシャッタースピードの針部分の組み直しはかなり面倒なのでおすすめしません。


巻き戻しクランクの方まで糸が来ています

・パーツを取り付ける

トップカバー内のパーツを確認して洗浄したらギア部分など必要な箇所に注油をしてトップカバーを取り付けます。この時に無理にカバーを入れようとせず、力をいれなくてもスムーズに入るか確認しながらカバーを取り付けましょう。カバーを取り付けたらトップカバー周りのレバーやダイヤルを取り付けます。


プリズムのステーを取り付けてあります


トップカバー周りのパーツを全て取り付けました

・シャッターを確認する

一旦組み立てたらシャッターが切れるかを確認します。シャッタースピード設定のダイヤルも回してシャッタースピードが変化しているかを確認しておきます。もしここで動作がおかしいようであれば、トップカバー内のどこかを組み間違えているとわかるので、修理の時はその都度動作確認をしてトラブル発見が楽になるように進めましょう。

・ミラークッションのモルト

レンズマウント側からミラーボックス内を見るとミラーが上がった時に上にサスペンション効果があるクッションのパーツが取り付けられているのがわかります。このクッションの先端はミラーが当たっても傷つかないように、そして消音させるためにモルトが使用されています。このモルトもかなり劣化していたので取り外して洗浄した後に貼り替えました。フィルム一眼レフカメラだと大体この部分にモルトかスポンジなどが貼ってあるのでモルト交換の時は忘れずに状態をチェックしましょう。


ミラークッション部分のモルトが古くなっています


ミラーボックス内のモルトを貼り直しました

・フィルム室のモルトを貼り替える

カメラのモルトの交換と言えばフィルム室内のモルトの事でここが数多くしかも細いモルトが使用されているので時間がかかる部分です。前回の清掃整備ですでに古いモルトは剥がしてあるのでモルト(ハイミロンで代用)を切り出して貼り付けるだけになります。


奥の細いのが切り出したモルトです


ヒンジ部分にモルトを貼るのを忘れないようにします


ヒンジ部分も含めてモルトを貼りました

・底カバーをはずす

前回の整備で底面のカバーを外して内部のギアなどで清掃を済ませてあるので、今一度カバーをはずして今回はシャッタースピードの調整をして他細かい部分を再確認します。


底カバーを取り外しました

・パーツの洗浄と注油をする

各ギアやヒンジなどを再度無水エタノールやベンジンで洗浄して脱脂した後に必要なう部分に注油をします。カメラのオイルは最小限より少なくてよいくらい少量でよいので、ベンジンで10倍にうすめて1滴たらすとかでも多すぎるくらいです。この後にもう一台のミノルタSR-T101ブラックを整備するのですが、写真にある右端のクランクにはグリスがついていました。


注油しました(右端に見えるのがクランクです)

・サービスマニュアルを読む

車とバイクと同様にカメラの修理にもメーカーが用意したサービスマニュアル(整備マニュアル)があります。マニュアルにはミノルタSR-T101のシャッター幕の調整に関しても記載があるので、シャッター幕の調整に限らずサービスマニュアルに目を通しておくと修理が楽になります。

・シャッター幕の調整

サービスマニュアルマニュアルによるとシャッター幕のラチェット(ゼンマイ型のマイナスネジの部分)でスプリングシャフトを2〜3回転巻けと記載されています。この2〜3回というのが曖昧で結局はシャッタースピードを見ながら調整していく事になります。このミノルタSR-T101に関しては前側(2nd、後幕)のゼンマイが2.5回転、後ろ側(1st、先幕)が3.5回転で調整が出来ました。ただ、この後に手に入れる別のSR-T101ブラックでは前側が2回転、後ろ側が3.25回転でした。


ギア状のネジを巻いてシャッター幕にテンションをかけます

・シャッタースピード調整

このミノルタSR-T101のシャッタースピード調整はかなりシビアで一見ちゃんとしてそうでもフィルムに幕の影が映ってしまったりします。シャッタースピードをチェックする機械を持っている方はほとんど居ないと思うので、なくても設定するにはまずシャッタースピード(SS)の1秒が1秒ちょうどか測り、次に1/1000がきちんと開いているかを確認します。これはカメラを電球などに向けてシャッターを切った時にきちんと丸く光が見えていればほぼ1/1000のシャッタースピードでシャッター切れていて幕も重ならず動いています。スプリングの張りが緩いとシャッター幕がはずれたようにスプリングが戻ってしまうので、その場合はゼンマイの巻数が少ないので少し多めに巻くようにしましょう。

・店に持ち込む

シャッタースピードの調整だけ心配、もしくはきっちり正確じゃないと許せないと言う方はクラシックカメラの修理をしているお店などに持ち込んでシャッタースピードだけ調整してもらうのもよいと思います。実際自分で調整してもシャッターさえ開いていてネガで撮影するのであれば全く問題ない範囲で調整が出来てしまいます。

・モルトを貼る

シャッタースピードの設定を終えてからカメラの底面を見るとモルトが必要そうな場所があったので遮光のためにモルトを貼りました。コニカC35なども底カバーに貼るモルトがあったりするので、モルト交換の時は確認しておきましょう。


モルトを貼りました(左上部分)

・撮影可能になる

最後に底面のモルトを貼りケースを取り付けてミノルタSR-T101のクリーニングと修理調整が完了しました。実際に撮影に使用するとやはり機械式のカメラは面白く、最初からマニュアル撮影しか出来ない状態でカメラを持ち出すと、AEであればなと思う事もなく写真を撮る楽しさが再確認する事が出来ます。ミノルタSR-T101は激安で転がっている事が多いカメラで整備もしやすいので機械式カメラとして1台追加してみてはどうでしょうか。


撮影準備が完了しました









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