・ジャンクカメラを綺麗にする
ミノルタSR-T101とMD Rokkor 28mm F3.5のジャンクカメラセットを手に入れてレンズだけ使用しようかと思っていましたが、まずは機械式カメラのSR-T101の各部を清掃整備をする事にしました。
・minolta SR-T101
ミノルタSR-T101は電池を使用したTTL開放測光が可能な機械式カメラです。レンズマウントはSRマウント(MC、MDマウント)でミノルタRokkorレンズが使用出来ます。カメラの状態はかなり汚れていて、シャッター幕が緩んでシャッターが切れない状態になっています。ゴミやチリなどが残っているとトラブルも増えるので、シャッターを切れるようにする前に各部をまず綺麗にしていきます。(2回に分けてまとめます)
・電池アダプター
ミノルタSR-T101に使用する電池はもう販売していないので、MR-9(H-D)アダプターとSR43を使用します。カメラの電池はマクセルのゴールドで決まりです。ただ、整備中に高級な電源を使いすぎるのは避けたい場合は、アダプター無しのSR44かLR44でも蓋を深めに取り付けると通電して露出計が反応します。
・電池を入れる
電池を入れてみるとあっさりと露出計が動きCdSと回路に問題ない事が確認出来ました。室内で露出計の動作確認をする場合はLEDライトをレンズかミラーボックス内(フォーカシングスクリーン向きに)に向けて明るさに反応させます。
・シャッター幕を養生する
フィルム室を清掃する際にゴミがシャッター幕に挟まったり、ギア部に噛むとせっかくのカメラが不調になってしまうので、まずはシャッター幕をマスキングテープなどで養生します。
・ゴミを飛ばす
ジャンクカメラは長く放置されていただけにフィルム室には古くなったモルトのカスなどが散乱しています。いきなり清掃してしまうとトラブルの元になるので、まずはフィルム室を下に向けてゴミなどを落とします。ほとんどのゴミが出たらブロワーでチリなどを飛ばします。ブロワーの基本は吸う事なので、いきない吹くとゴミなどが奥に入ってしまうので気をつけましょう。
・モルトの場所を確認する
フィルム室に貼られているモルトはかなり傷んでいて全て貼り直すので、まずは全て剥がして綺麗にしてしまいます。モルトは剥がす前にどこに貼られていたかを必ず確認しておかないと、綺麗にした時に貼り直す箇所がわからなくなってしまいます。大体の場合は古い接着剤などで、フィルム質や裏蓋などの塗装が剥げていたりするのでモルトを貼る場所の目安はわかります。
・無水エタノール
モルトを竹串などで削って取り除くのですが、古い接着剤や両面テープなどが固着している事が多いので無水エタノールで濡らしながら清掃すると楽に綺麗にする事が出来ます。無水エタノールはたらし過ぎないようにコスメ用の先が尖っていない注射器(インジェクター)を使用するとカメラを水浸しにする事なくクリーニングが出来ます。
・モルトを剥がす
かなり根気がいりますが、細かい部分まで全てのモルトを剥がしてフィルム室と裏蓋を綺麗に仕上げます。まだシャッターなど動かない部分があるので、モルトの貼り直しはカメラを修理をしてからにします。
・裏蓋をはずす
裏蓋をはずすとギアなどのパーツが一気に現れます。今回はパーツの確認を主にして気になるところだけパーツをクリーニングしました。注油などは各部の調整と共に次回に行います。
裏蓋をはずしました(ゴミが入らないようにボディキャップを取り付けました)
・シャッター幕の調整
シャッター幕が緩んでいてシャッターが切れない状態ですが、裏蓋を開けると出てくる真鍮(ゴールド)の2つのギアを回すとシャッター幕のテンション調整が出来ます。この段階でネジを回すとあっさりとシャッター自体は切れるようになりました。シャッター幕のテンション調整ギアの横のカメラの端にあるロータリー抵抗はCdSの感度調整用になります。今回は清掃が主なのでシャッタースピードの調整などは次回に行います。
・トップカバーを開ける
カメラの上部がかなり汚れているので、ここからはトップカバーをはずして各パーツをクリーニングしていきます。
・巻き戻しクランクをはずす
トップカバーをはずすにはカメラ上部にあるダイヤルやレバー類をはずす必要があります。まずは左側の巻き戻しクランクをはずします。そのままだとグルグル回るだけなので、裏蓋を開けてクランク軸に割り箸など柔らかめのものを挟んでロックしてはずします。この時クランクのレバーで回してしまうと古いパーツのため金属疲労などで折れてしまう事があるので、全体を掴んで回すようにしましょう。
巻き戻しクランクをはずしました(この後に下の皿も外しました)
・バイスプライヤー
シャッターをチャージする巻き上げレバーの取り付け部分はカニ目になっていないので、ゴムなどで養生しながらプライヤーで取り外します。バイスプライヤーだと掴んだ状態でロック出来るので簡単に取り外せますが、吸盤オープナーを使うのもよいと思います。(ネジが固着していると吸盤オープナーではきついですが)
・シャッターレバーを取り外す
シャッターレバーを取り付けているネジをはずすと、シャッターレバーがはずせるシンプルな設計になっています。レバーを取り外すとかなり汚れているので、こちらも綺麗にしていきます。
シャッターレバーを取り付けているネジがはずれました(シャッタースピードダイヤルは先にはずしました)
・シャッタースピードダイヤルの汚れ
ジャンクカメラとして放置されていたからか、シャッタースピードダイヤルのプレートがありえないほど汚れています。無水エタノールと爪楊枝で1/250〜1/1000までは読めるようにしましたが、かなり汚いのでこれは別途綺麗にしてリペイントする事にしました。
・トップカバーを綺麗にする
トップカバーを取り外せる直前まではきましたが、とにかく汚れているところは綺麗にしてしまいます。トップカバーを外して他の部分の調整などは次回となります。