ページ1:カバーの分解
ページ2:プリズム周りの清掃(このページ)
ページ3:文字のリペイント
ページ4:モルトの貼り替え
ページ5:通電確認とM42改造え
・シャッターレバーを取り付ける
整備中にシャッターが切れるか確認する必要が出てくる事が多いので、シャッターチャージレバーだけをトップカバーが無い状態で取り付けておきます。ファインダーやプリズム周りの清掃をしたあとに糸を引き直した際にもシャッターが切れると動作確認がしやすくなります。クランクレバーの下の円盤状のパーツもこの状態で取り付けておくと糸が通っているパーツが脱落する事がなくなります。とにかくミノルタSR-T101の整備ではこの糸の引き直しの必要がないように進めるのが一番です。
・プリズムを取り外す
トップカバーを取り外した状態でプリズムの上にあるステーを取り外すとプリズム本体を引き出す事が出来ます。プリズムには露出測光用のCdSにワイヤーが付いているので引っ張り過ぎないようにしましょう。古いカメラだとこの線材類も風化で硬くなって半田部分が切れやすくなっています。軽整備の場合はそのままでよいですが、完全にバラす場合は先に半田ごてを使用してコード類を取り外してしまった方がよいでしょう。
・プリズムのスポンジを剥がす
プリズムを取り外すとレンズマウント側(前方)にグレーのスポンジが見えてきます。モルトを使用していないのでプリズムの劣化はありませんが、新しいものと交換するために取り外して清掃します。清掃で無水エタノールを使用する場合はフォーカシングスクリーンに液体類がこぼるとシミになってしまうので気をつけましょう。
・プリズム用のモルトを切り抜く
プリズムを押さえるための古いスポンジを剥がしたら新しいものと入れ替えます。モルトを使用すると腐食してプリズムのメッキが剥がれてしまうので、クラシックカメラなどにモルトの代わりで使用されるハイミロン(ベルベットの様な生地)を使用します。元のスポンジと同じサイズにハイミロンを切り抜きます。接着には接着剤を使用してもよいですが、両面テープを使用すると貼り付けが楽になります。
・プリズムのスポンジを貼り替える
スポンジが貼られていた部分にハイミロンを貼り付けていきます。モルト類の貼り付けには逆作用ピンセットを使うと斜めになりづらく綺麗に貼り付けられます。
・ここから先は注意が必要
ミノルタSR-T101の整備で注意しなければいけないのが、カメラ全体に糸が張り巡らされていると言う事です。この糸でマウント部分を引っ張りリングを回す事で自動絞りを実現しているのですが、この糸を緩めてしまうと戻すのがとても大変になります。慣れるとそうでもないですが、初めてフォーカシングスクリーンのブロックを外す場合は覚悟してからトライしましょう。もしくはもう完全に動かなくなっているSR-T101のジャンクをもう一台用意して練習するのもよいでしょう。
・スクリーンブロックを外す
ここからは糸の引き直しが必要になるので大変ですが、フォーカシングスクリーンのブロックの下にもモルトが使用されていてまず交換されていないので、ほぼ確実に劣化と腐食しているので交換する意味は大きいです。フォーカシングスクリーンのマット面は触ってしまうと傷が取れなくなるので扱いには注意しましょう。
・針が動き出す
電池を入れても動かなかった露出計の針ですが、メーターのユニットを外したらあっさりと動きはじめました。どうやら針が他のパーツに触っていただけのようで、この後に組み立て直したら問題なく針が動くようになりました。原因は移動中にカメラが強く揺れたりどこかに落としたりしたのでしょう。
・スクリーンブロックのモルトを剥がす
スクリーンブロックの下には左側のメーターユニットの下にも右側にもモルトが貼らています。オーバーホールをしていない限りこの部分のモルトを交換している事はまずないので、古いモルトを剥がしてここもハイミロンで貼り替えてしまいます。
・スクリーンブロックを清掃する
スクリーンブロック本体の下側は古いモルトに触れている期間が長過ぎて青カビだらけになっています。40年以上モルトも交換されず劣化し続けたので、無水エタノールと綿棒で清掃してもすぐには綺麗にならないので念入りにクリーニングしていきます。スクリーンのブロックをクリーニングしたらブロックを取り付けます。