・レンズを分解清掃する
ミノルタSR-T101と同時に手に入れたMD Rokkor 28mm F3.5はそのまま撮影に使えるものの少しカビがある状態です。せっかくSR-T101を修理して完動品にしたのもあり、レンズの方も綺麗にする事にしました。
・Minolta MD Rokkor 28mm F3.5
使用するのはミノルタMD Rokkor 28mm F3.5です。ミノルタのフィルム一眼レフカメラのSRマウント(MCマウント、MDマウント)用のレンズになります。マウント名は正式にはミノルタマウントですが、そう呼んでいる人を見たことはありません。
・ミノルタの28mmレンズ
ミノルタSRマウントのレンズはこの28mmだけに限らず、MCやMDの違いだけでなく細かくマイナーチェンジされています。何代目かによって価格が違ったりするで、あえて不人気なバージョンを格安で手に入れるのもありです。こちらは後発のMD名ですが、この後にMC Rokkor 28mm F2.8も追加しました。New MDと呼ばれるレンズはカメラ側から絞りをコントロールしてシャッタースピード優先やプログラムオート撮影が出来るようになっています。古いSR-T101などに取り付けた場合は、他のMCレンズと同様に絞り優先AEが使用が出来ます。
・28mmの画角
28mmの画角は今では動画人気もあり広角の仲間に入れてもらえず、iPhoneのレンズが28mmと言われ始めてから人気が一気になくなりました。ただ、ミノルタであればTC-1、リコーGR-1など高級コンパクトでも使われた旅行やストリートフォト向きの見たままの風景が撮れる使いやすい画角で、カメラを購入したら必ず1本は28mmを追加しています。
・分解清掃する
手に入れたミノルタMD Rokkor 28mm F3.5はヘリコイドや絞りなど全く問題ないのですが、レンズにLEDライトを当ててみると前後にホコリやチリと後ろに少しカビが見えるのでクリーニングする事にしました。
・ブロワーで綺麗にする
・トレーを用意する
レンズの分解清掃では光学系のパーツに傷がつくのを避けるためと、細かいネジやパーツの紛失を防ぐためにトレーにペーパーなどをひいておきます。レンズの出っ張った面を下にする時はレンズペーパーをひくと傷が付きづらくなります。
・カニ目レンチ
ほぼ全てのレンズの前玉か後玉を外す時に必要になるのがカニ目レンチです。工具がない事には取り外す事が出来ないので、オールドレンズのクリーニングをする際にはカニ目レンチを用意しておきましょう。ピンセットやペンチなどで開かない事はないとは思いますが、カニ目レンチの代用するのはおすすめしません。
・後玉をはずす
後玉をよく見ると小さい穴が2つ開いているので、そこにカニ目レンチの先端を入れて回すとレンズが取り外せます。ほとんどの後玉が楽にはずせるように作られていますが、固着してそうな時は無理に力を入れすぎないようにしましょう。
・絞りには触らない
レンズにもよりますが、MD Rokkor 28mm F3.5の場合はすぐに絞りが現れます。絞りの状態もよくオイル染みなどもないのでこのままにしておきます。絞りは全部バラしたりしない限り直接触ったり、無水エタノールを含む液体で洗ったりしないようにしましょう。フルマニュアルの実絞りのみで撮影するのであれば絞りの動きが硬かったり粘ったりしていても写真は撮れますが、絞り優先AEや開放測光(マニュアルでも)で撮影する場合は、シャッターを切る前に設定した絞りまで動かすのが間に合わなくなってしまいます。
・吸盤オープナー
レンズ前にあるレンズ名が記載されている銘板をはずすのにもカニ目レンチが使用出来ますが、固着していたり滑ってレンズを傷つけてしまうのを防ぐためにもゴム製の吸盤オープナーを使う方が安全です。
・ベッセルの細軸ドライバー
カメラもレンズも小さなネジ(ビス)が使われていますが、そのほぼ全てに対応出来るのがベッセルのドライバーNo.910(+0x75)です。日本製ネジの頭には日本製ドライバーの先がより合うようになっています。100均の精密ドライバーセットでネジ山を舐めてしまう前にドライバーだけは良いものを揃えておきましょう。(と言ってもベッセルも安いです)
・前玉を取り出す
3つの小さな取り付けネジをはずすとあっさりと前玉を取り出す事が出来ます。前玉の外し方はレンズによるので、初めてのレンズの場合は急がずゆっくりとすすめましょう。レンズを取り出す場合は指でつまんだりすると指紋だけでなく傾いて光学部分に傷が付いてします可能性があるのでレンズサッカーで周りにぶつけないように取り出します。
・無水エタノール
カメラのパーツ清掃や脱脂には無水エタノールを使用します。カメラやレンズボディだけでなく光学、金属パーツの洗浄にも使用出来ます。オイルや汚れが酷い時はベンジンも使用する時もありますが、基本無水エタノールのみで済ませます。無水エタノールもボトルの中にゴミなどが入らないように、小さな取皿などに入れたのをコスメ用のインジェクター(注射器)に移してかけ過ぎないよう最小限の量を出しながら使用します。
・本体をクリーニングする
前玉を取り外すとレンズの内部がかなり汚れていたので、無水エタノールとレンズクリーニングペーパーで清掃しました。レンズ内部に指は入らないので竹串、爪楊枝、綿棒などの先にレンズクリーニングペーパーを巻きつけて清掃をします。ピンセットやドライバーは滑った時に光学部分を傷つけてしまうのでなるべく柔らかい素材のものを使用するとよいでしょう。
・レンズクリーニングペーパー
レンズのガラスなど光学部分の清掃にはフジフィルムのレンズクリーニングペーパーとレンズクリーニングリキッドを組み合わせて使用します。ペーパーはレンズを傷つけないつるつる素材(表裏があります)で、リキッドの方は洗浄だけでなく多くの種類のカビを綺麗に落とすのでおすすめです。カビキラーなど使う方もいますが、あまり効果があるとも思えずコーティングを傷めないようにも専用のクリーナーを使用する方がよいでしょう。お気に入りのレンズがカビと傷でどうにもならない時は再研磨と再コーティングすると言う手もあります。
・レンズを磨く
レンズに付いているホコリをブロワーで落としてからレンズクリーニングペーパーのつるつるしている表側を確認して少量のレンズクリーニングリキッドを染み込ませてレンズを清掃します。カビは種類によってどうしても取れないものがあるので、カビにはこだわり過ぎずにガラス面を綺麗に油脂を落としてホコリを残さない事を重点的に行います。カビはそれほど酷くなかったようでホコリや汚れも含めて綺麗になりました。レンズ類はクリーニング後もレンズのはずした上下をそのままにしておきます。(上下を間違えたまま組めてしまうレンズが結構あります)
・レンズサッカーを使用する
せっかく磨いたレンズを素手で触って指紋を付けてしまうと台無しなので、光学部分をレンズ本体に戻す際にはレンズサッカーを使用します。(手袋だとサイドに粉等が付いてしまいます)レンズサッカーでガラスパーツを持ち上げてレンズ本体に戻したら、外したパーツを再度取り付けてホコリが内部に入っていないかLEDライトで確認したら全てのパーツを固定します。ガラス部分は曲がって装着されてないか確認してネジ等も無理に締めないようにしましょう。
・再度清掃する
レンズサッカーの跡がガラスの先端部に付いているので、レンズのガラス部分の先端を再度レンズクリーニングペーパーとリキッドで清掃して綺麗にします。
・カメラに取り付ける前に
組み立てが終わったらカメラにいきなり取り付けずに絞りやフォーカス(ピント)を動かしてみて、マウント側の自動絞りのレバーなどが正常に動くかを必ず確認します。
・清掃完了
レンズを分解して前後の清掃が終了して内部のホコリもなく、各部の動作も確認しました。ここまでならそれほど大変ではなく、この先の絞りやヘリコイドを分解すると無限の設定などがあり一気に難易度が上がります。
・取り付けマークをカラーリング
ジャンクレンズだっただけにレンズマウントに取り付けのため本体に付いているはずの赤い指標が外れていました。取り急ぎマーキング部分がわかれば良いので、蛍光オレンジのドットステッカーを切り抜いて貼り付ける事にしました。まずはステッカーを貼る前に貼る部分の接着をよくするために無水エタノールで脱脂します。ステッカーをレザークラフト用のポンチを使用して貼り付ける箇所のサイズに合わせて抜き取り、レンズ本体に貼り付けました。(この後に赤くリペイントし直しました)
・実際に撮影してみて
ミノルタMD Rokkor 28mm F3.5は最初かなり汚れていてレンズ本体も前後ガラス部分のホコリやカビもありましたが、レンズの前後を分解してクリーニングすると光学部分をLEDライトで覗いてもスッキリと抜けがよくとても綺麗になりました。実際に撮影してみてもレンズ操作と写りに全く問題はありませんでした。レンズの型にもよりますが、前後の清掃であれば比較的楽に出来るので、この機会にレンズを清掃してみるのも面白いと思います。