– minolta Hi-Matic Eのモルト交換
中古のフィルムカメラを購入すると毎回気になるのが、モルト(遮光材)の状態でしょう。モルト交換はそれほど難しくなく、一度覚えてしまえばモルトの状態を気にする必要がなくなり、欲しいカメラの幅も広がります。今回は格安で出来るように100円ショップで手に入る品でモルト交換をしました。やり方や注意点などを含めて書いていきます
– 100円ショップで道具を揃えよう
自作などにほとんどの物なら揃うようになった100均商品ですが、モルト交換用でも十分使える物が多くあります。今回はフエルトをminolta Hi-Matic E(ハイマチックE)用のモルトの代替品として使用しますが、他にも100均で使える素材などがありますので、いろいろと試してみるのも楽しと思います。
ハイマチックEの記事はこちら、ハイマチックEの自作電池アダプター製作の記事はこちら、ハイマチックEのレンズの分解清掃の記事はこちらです
・黒いフエルト:モルトの代替え品
・工作マット:モルトの切り出す時の台に使用
・両面テープ:モルトの貼り付けに使用
・鉄定規:モルトを真っ直ぐ切り出すのに必要
・ロータリーカッター:刃先が円形になっているカッターで、真っ直ぐ切りやすくフエルトがほつれにくい
・コスメ用注射器:無水エタノールなどでモルトの溝を洗浄するのに便利
・竹串か爪楊枝:モルトの溝を清掃用(ボディが傷つくので金属類を使用するのはやめましょう)
・マスキングテープ:レンズ部分などの養生用
– あったら便利な品
100均商品ではなくモルト交換以外にも使える物はいろいろありますが、どれもそれほど高い物ではなく一度買ったら相当長持ちするので、カメラを複数台修理する方は最初に良い物を揃えてしまうのもありかと思います。カメラ専用のモルトもハイマチックEが発売された1970年代より素材自体がとてもよくなって腐食しづらくなっているますし、糊付きは切り出すだけで使用出来るので便利です。
・無水エタノール:モルト用の溝の清掃だけでなく、カメラやパーツの清掃など万能です
・カメラ専用のモルト:専用の物で最初から糊付き物などがあります
・ハイミロン:ベルベットの様な素材でクラシックカメラ専門店などがモルトの変わりに使用しています
今回揃えた一式(ロータリーカッター以外)、鉄定規は元々持っていいた物ですが100均でも手に入ります。
モルトの切り出しに必要な工作マット、下敷きやマウスパッドにも使える便利物
近所の100均のフエルト、こちらの方がほつれにくくモルト向きでした
– 養生と現状の確認
まずはフィルムボックス側の裏蓋を開けて裏蓋側を下に向けてブロアでホコリやモルトのカスを飛ばします。大きいゴミなどが全部取れたらレンズ部分にモルトのカスなどが入らないようにマスキングテープなどを使用して養生をします。レンズ部分にゴミなどが入らない事を確認したらフィルムボックスや裏蓋の現状を確認します。この時に元々モルトが貼られていた場所を確認します。モルトが剥がれ落ちていても裏蓋側の傷んだ部分を見るとどこに貼られていたかが確認出来ます。今回のハイマチックEのモルトはかなり傷んでいて剥がれているのがほとんどでしたので全交換が必要です。この頃のカメラの全てがそうであると言ってもいい、モルトが触れていた裏蓋の金属部分が少し傷んでいます。
– 古いモルトを清掃する
はっきり言うとモルト交換で1番面倒なのは最初のクリーニングの段階です。モルトの腐食具合やモルトが貼られている大きさにもよりますが、とにかく綺麗にするのが一苦労でモルト自体を貼るのは一瞬と感じると思います。まずは竹串などで大きく剥けるモルトを剥がします。その後にこびりついた古いモルト、両面テープや接着剤を無水エタノールで綺麗にします。大きいゴミは故障の原因になるので、ここで出来る限り綺麗にするのが重要です。
– モルトの切り出し
フエルトの素材にもよりますが、細くほつれない様に切るにはロータリーカッターが1番です。普通のカッターだと引っかかってフエルトがほつれやすくなり、ハサミの方が楽なくらいです。100均のフエルトで一生使い切らないくらいのモルトが切り出せますので、切るのに慣れるまで気楽に練習するとよいと思います。
– モルトの貼り付け
ハイマチックEに限らずミノルタのカメラはボディ側の細い溝の部分全体的にモルトを貼る必要があるので、かなり細く長いのでモルトの切り出しと貼るのは少し大変です。
– 完成
モルトが全部貼れたら蓋がきちんと閉まるかを確認します。フエルトだと蓋を閉めるのが若干きついと感じる事があるかと思いますが、蓋を閉めっぱなしにしてちょっとするとフエルトが押しつぶされ落ち着いて蓋の開け閉めもしやすくなります。もちろん最後はフィルムを入れて試写をして光線漏れがないかを確認して完成となります。
– まとめ
日本メーカーのクラシックカメラの宿命とも言えるモルトの腐食ですが、モルト交換自体はそれほど大変ではありませんし一度交換したら当分交換の必要がないくらいに長持ちします。自分でモルト交換が出来れば、清掃されてないだけで電源の入るジャンクカメラを簡単に蘇らせる事も出来るので覚えておいて損はないと思いますので、この機会に挑戦してみてはどうでしょうか。
こんにちは。とても参考になります。
私も友人に整理ということで、MINOLTA HI MATIC Eを頂いたのですが、ヘリコイドがカチカチで動きません、修理はどうすればいいですかね?よろしければ教えて頂けませんか?宜しくお願いします。
http://www.animalracer.com/minolta-hi-matic-e-black-front-lens-cleaning/
http://www.animalracer.com/?s=Hi-Matic
レンズの前側を分解していく必要があるので参考にしてみてください。
ヘリコイドグリスは高価なのでヘリコイド固着以外が全て完動か確認してから手に入れるといいと思います。
グリス自体は安価なモリブデンでもシリコングリスでも代用は効きますが動作がヘリコイドグリスよりトルク感が軽くなります。
役立つ情報をありがとう
ございました
とても参考になりました。
お役にたてて何よりです。
Hi-Matic Eは素晴らしいカメラですし、少し手をかけるだけでまだまだ使えます。