– Konica C35のCdS交換
手に入れたものの露出計不良で放置していましたが、よく調べるとCdSが劣化しているのがわかり交換する事にしました。CdS交換により今は完調になっていますので、CdSの交換方法の手順などを書いていきます。
– 露出計不良
コニカC35(C35)の初期型を手に入れたものの、露出計が動かずパーツ取りにでもしようかと思っていたのですが、よく調べると電池を入れた時に露出計の値が振り切っているのに気が付きました。これはCdS不良で抵抗がなくなっているせいなので、CdSを交換して復活させる事にしました。これで直ればコニカ C35 Flashmatic(C35フラッシュマチック)と2台体勢になりますので、是非復活させたいところです。
C35の使い勝手などの記事はこちらです
CdSを交換するのにここまで分解しなくても出来ますが、ついでにレンズ清掃も済ませる事にしました
– CdSとは
*すぐにCdS交換をしたい方は飛ばしてください
CdSはCdSセル、硫化カドミウムセルと言われる光の強さによって抵抗値が変わ光導電素子です。身近なところだと暗くなると自動でつくライト用のセンサーなどに使われています。この光の強さによって抵抗値が変化するのを利用して主に1960年代後半~1970年代中頃までのカメラの露出計に使用されています。C35などの電池はこのCdSを利用した自動露出(シャッタースピードと絞り値の制御)に使用されており、明るいところでより抵抗がなくなる性質を利用して抵抗が少なくなるほどにシャッタースピードを速く、絞りを絞る方向に変化させています。
– CdSの特性
*これもすぐにCdS交換したい方は飛ばしてください
C35の発売と同じ時期の機械式一眼レフカメラであるミノルタ SR-TシリーズやPentax SPなどの電池はCdS露出計のみに使われていて、シャッタースピードの制御等には使われていません。勘違いされている方がいますが、CdS自体は電池が無くても単体で抵抗値が変わります。実際にCdSを直接テスターにつないでライトを当ててみると抵抗値が変化するのがわかります。この抵抗値が変化するところに電気を流す事によって流れる電流の変化でメーター(コイル)の指す値を変えシャッタースピードなどの制御をしています。C35もそうですがローライ35などスイッチがついてないCdS露出計がついているカメラはケースをつけていないと電池が消費してしまいます。そのためケースに入れたりレンズキャップをつけて片付ける方が多いかと思います。(ローライ35はレンズ沈胴にCdSがついてないので、ケースに入れる必要があります)ただ、CdSは暗部に置いておくと劣化する特性があります。なので、実際はCdSを光に当てておいた方が長持ちすると考えられます。もちろん光にあてると電池は減る(電池は露出計の針を動かすのに使われる)ので、長期保管する時は電池を抜いてケースに入れずに保管するのがよいでしょう。
– 交換用CdSを用意する
交換するからにはCdSが必要になります。EUなどの規則でカドミウムが含まれる製品は輸出出来ないので最近の製品には使用出来ませんが、単体であれば普通に手に入ります。値段も1つ30円、4~5個で100円と言ったとことです。今は探しても5mmと11mmタイプしかないと思うので、C35の露出計用には5mmの方を使用します。今回は買い出しついでに新しいワニ口クリップとテスターも手に入れてきました。
– テスターを新調する
ずっと愛用してきたデジタルテスターが完全に壊れてしまい、テスターも新調する事にしました。カメラ修理の基本的な事に使用するテスターはそれほど高い物である必要はありません。機能としては断線を調べるための抵抗値がわかり、1.5Vの電池チェッカーがあれば十分ですが、この機能がついてないテスターはまずありません。数値の見やすさやなどはアナログテスターの方が上なので、初めてのテスターであればアナログの針が動くタイプをおすすめします。
– CdSの状態を調べる
元に付いていたCdSをテスターで調べるとやはり光の強さを変えてもずっと抵抗値がゼロのままです。これでは露出計として使用出来ません。CdSの交換には半田ごてが必要なので、CdSがついているリング自体をはずしてしまいます。これをはずすとレンズや他の部分のクリーニングが楽になります。
– レンズを清掃する
せっかくレンズをすぐはずせるところまで到達しているので、ついでにレンズもクリーニングする事にしました。C35系はレンズをはずすとフォーカス(ピント)の調整が必要となるので、レンズが綺麗な場合はそのままにしておきましょう。フォーカス調整はCdSがついていたリングがはずれたままの方が楽なので、レンズをクリーニングする場合はフォーカス調整を先に済ませた方がよいでしょう。レンズのクリーニングとカビ取りにはフジフィルムのレンズクリーニングペーパーとリキッドを使用するとレンズが綺麗になるだけでなく多くのカビを取ることが出来ます。
レンズ清掃とフォーカスの調整の記事はこちらです
レンズクリーニングにはフジフィルムのペーパーとリキッドがおすすめです
– CdSの動作確認をする
いきなり半田で取り付けて動かないとこまるので、手に入れたワニ口クリップを利用してカメラの露出計が動くかを確認します。CdSに極性はないのでプラスマイナスのどちらに付けるかの方向性はありません。新しいCdSをつないでみると露出計が動きだしました。もう1台のC35フラッシュマチックと同等の値を指すので特性も問題ないようです。
C35フラッシュマチックの記事はこちらです
次のページでは各部の清掃とCdSの取り付けを行います。次のページはこちらです。
こんにちは。コニカC35(fm)の露出計の動きに不具合が見られ検索していたところ、こちらに行き着きました。
とても丁寧で分かりやすく、材料を揃え修理してみたら良くなったようです。試し写しはまだなのですが。とにかくありがとうございます。
無事に直ったようで良かったです。C35はいいカメラなので大事にして下さい。
参考にしてCdS修理をしました。貴重なブログありがとうございました。
ところで、ようやく組み上げ終わった後、元からなのか、Bが効かずシャッターが切れてしまうことに気づき再度シャッターユニットまでバラしました。しかしどこがバブルをコントロールしているのかどうしても理解できません。アドバイスいただけると幸いです。
電池が入ってなくてもシャッターが切れてしまう機種なので、B時の絞り(シャッター)開放を確実にするためにバッテリーチェックをしてから動作確認するとよいかと思います。機械的な問題の場合はレンズの部分にBへに切替があるのでそこからパーツを辿ると問題が見るかもかもしれません。古いカメラなので完動は目指さず撮れる状態であればそのまま楽しむか、クラシックカメラでよく言われるセルフタイマーには触らない的な扱いがよいでしょう。
初めまして、白石と申します。 私もKonicaC35FDを持ってますが、露出計不動の為使えず、修理先を探してましたが、中々修理を引き受けて頂けず困ってました。 ブログ拝見しまして、cdsの交換と言う根本的な修理方法が、素晴らしいと感銘しました他の方は、(同時カメラからの部品取り転用方法)を前提でのお話でしたが、今はそれもままならないとの事で、修理不可などで断られます。
勿論修理費はお支払い致しますので、修理をお願い頂けませんか?
ご連絡下さいませ。
コンパクトカメラは基本的に修理を依頼するより動く個体を探す方が安く済んでしまいます。その個体が想い出の品でどうしても使用したいと言うのでしたら、動く状態の物を購入する時に今ご使用のカバーだけを交換したいと依頼すると引き受けてくれるショップもあると思います。
c35の修理とても勉強になります。
当方もcds故障の疑いのあるc35を所有しています、交換を検討しているのですが抵抗値?が何周類かあり何を選んだら良いか分かりません。
良ければ何を使ったか教えて頂けませんでしょうか
よろしくお願い致します。
C35に使用するCdSは0.5M~2MΩでほぼ同一の針の触れ方をするので、入るサイズの1MΩの物でであれば問題ないかと思います。
同一サイズとなると探すのが大変なので、小さめの物を選ぶと良いと思います。
貴重なc35の修理レポートをありがとうございます。
質問があります。
フライホイールなどへの滴油は何という油を使われましたか
ベンジンで洗浄とは具体的にどうすればいいのでしょうか
カドミウム素子はどのようなサイズのものを選べばいいでしょうか
オイルはラジコンのベアリング用のオイルなどを使用しています。
ベンジンで洗浄時は全部のパーツをバラしてからが一番ですが、フライホイール部をやるのであればレンズ側の絞りに液体が回らないように気をつけるとよいと思います。
CdSはサイズ的に入る物であればどれでも良いと思いますが、私は5mmサイズの物で元のCdSよりは若干小さい物を使用しました。
Konica C35は見た目も含め良いカメラなので、末永く使ってあげてください。