・放置していたコンパクトカメラ
一眼レフやレンジファインダーなど数多くのフィルムカメラを使ってきた中でも高級コンパクトを含めたコンパクトカメラはかなりの台数を使ってきました。あまり気にせず長期間放置していていたコニカビッグミニの人気が上がっているのを知り復活させてみる事にしました。
・Konica Big Mini BM-301
今回使用するのはKonica Big Miniの3代目になるBM-301です。オートフォーカスでフラッシュ内蔵のコンパクトカメラで、初代Big Miniからサイズはかなり小さくなっています。レンズの良さからくる写りは素晴らしくアラーキーやHIROMIXが使用していたモデルです。
・リチウム電池を用意する
コニカBig Miniにはリチウム電池のCR123Aが必要です。リチウム電池は安くないのでフラッシュを含めたカメラの動作確認にはバルク品のCR123Aを使用する事にします。バルクのCR123Aは3.0V 1400mAhと十分なスペックです。充電式のCR123Aもありますが、容量が少なくカメラとの相性を含めた動作も確実ではないので通常のリチウム電池にした方がよいでしょう。
・電池を入れる
フィルム室の右側に電池ケースがあり蓋を開けると電池の表示があるのでCR123Aの向きを間違えないように装着します。電池を入れるとモーター音とともに液晶の日付などが表示されます。内部のコンデンサーが古くなっているので電池を取り外すと短時間で液晶が消えて設定も飛んでしまうので、長期間使用しない時以外は電池を入れっぱなしにしておいた方がよいでしょう。
・以前と変わらぬBig Mini
電池を入れるとあっさりと液晶も表示され電源も入り以前使用していた時と全く変わらない状態で動き出しました。モルトを使用していないので腐食が進んでいる部分もなく、レンズにLEDライトを照らしてみてもカビも曇りもなくまさに完動品でした。コニカと言えばレンジファインダーカメラのC35などコンパクトでよく写るカメラを作るのが得意なメーカーのイメージで、Big Miniに繋がっているのもうなづけます。
・素晴らしい写り
レンズの性能が良いだけではなく前面にスカイライトフィルターが取り付けられているのもあり素晴らしい描写力のカメラです。完全オートでカメラまかせに撮るとミノルタTC-1(こちらもアラーキーが使用)より良く写る事が多く以前はよく持ち出していました。MINOX 35 GT-Eにも同じようにスカイライトフィルターがあるだけでにMINOX 35シリーズの中でもトップの写りです。
・日付に期限あり
懐かしのフィルムカメラと言えば日付を焼き込める機能がある事でしょう。焼き込まないつもりが焼き込まれていたり今を思えば楽しい機能で、スマホのアプリなどで再現されているのもわかります。Big Mini BM-301に電池を入れると’87 1 1と1987年1月1日と表示されます。現在の日付に設定しようとしましたが、2019年までしか設定出来ないようになっていました。Big Miniを作った当時はさすがに30年以上後に使用するとは思ってなかったのでしょうし、一応日付と時計だけ設定して日付の焼き込みはオフにしました。
87年1月1日と表示されます(電池の残量表示はこの後に直りました)
・純正ストラップを使おう
ストラップは何でもよいだろうと思われるかもしれませんが、Big Miniのモードや日付の設定ボタンはカバンやポケットに入れ際のご操作を防ぐためにかなり押し込まないと反応しないようになっていてボタン自体も爪で押せないほど小さくなっています。そこでストラップの長さ調整のパーツ部分に突起があり、その突起で各設定のボタンを押せるようになっている優れた設計になっています。(これも以前はどこかの特許だったのでしょう)
・RETOと比べてみる
最近お気に入りのRETO Ultra Wide & Slimと比べてみます。RETOはパンフォーカスのフィルム交換が出来る写ルンですのようなトイカメラなので直接のライバル機ではありませんが、Big Miniは電池とフラッシュが搭載されているのに小さくまとまっているのがわかります。
・MINOX 35と比べてみる
ドイツのコンパクトカメラと言えばRollei 35とMINOX 35で沈胴レンズで面白い設計になっています。MINOXの中でもMINOX 35GGT-Eは写りも一番よく素晴らしいカメラです。フラッシュ、AF(オートフォーカス)、自動巻きではないのでとてもコンパクトにまとまっていますが、Big Miniは機能満載で一回り大きいだけなのはこの時代のカメラとしては本当に凄いです。この後になると高級コンパクトカメラが多く出てきて、リコーGR-1やミノルタTC-1などはよりコンパクトにまとまっていますが、Big Miniが指針を示し1つの時代を築いた事は確かでしょう。
・練習用フィルム
シャッターを切るだけならフィルムを入れなくても可能ですが、フィルムを入れてから巻き上げまでの一連の動作の確認をするためにフィルムを入れてみます。フィルムは高価になったのもあり感光済みの練習用フィルムを使用します。馴染みのクラシックカメラ専門店などあれば1台カメラかフィルムをいくつか買えば無料でもらえる事もあります。(無理強いしないように)
感光済みの練習用フィルム(間違えて使わないようにXマークが入っています)
・フィルムケースを開ける
フィルム室から見て左側スイッチをスライドするとフィルムケースが開きます。遮光部分にモルトはない設計でフィルム窓の押さえ部分もスポンジのため劣化はなくフィルム室は綺麗なままでした。ホコリやチリなどがフィルムに巻き込むとトラブルになるので、まずはブロワーでゴミを飛ばしておきます。
・フィルムを入れる際の注意
全自動コンパクトカメラを人に貸し出すとほぼ全員がフィルムをきちんと入れる事が出来ずに撮影を失敗して返却してきます。これはほぼ毎回で理由はフィルムを装填する時にフィルムのベロを引っ張って奥に入れ込まないからです。Big Miniに限らずですが、カメラを使用する際はフィルムでもデジタルのどの機種でも必ず説明書を熟読してから使用しましょう。
・フィルムを巻き上げる
フィルムをきちんと置くへ引っ張ってから蓋をしめると自動でフィルムが巻き上げられて右側の液晶にあるフィルムカウンターが1となります。全自動なので半分感されて切れたような写真が撮れないのは残念ですが、きちんとした写真を撮れるようになっています。
・フラッシュ内蔵
プラスチックカメラの時代はフラッシュの時代(感電しないため)でもあり、暗かったらISOを上げられるデジタルカメラと違い、暗くなったらフラッシュを炊けばいいだろうとと言う作りになっています。フラッシュの点灯や赤目防止の機能なども動き全ての機能が問題なく動く事を確認しました。
・露出補正機能付き
Big Mini BM-301は露出の+−が設定出来る面白い機能がついています。高級コンパクトでは当たり前かつ上部にダイヤルとして設定されるようになりますが、この時代から搭載されていて凝った撮影が出来た事に驚きです。ISO(ASA)の設定を変更すればと思うかもしれませんが、DXコード読み込む自動設定のみなのでISOを変更する事は出来ません。裏技としてはISO 400のフィルムにISO 1600のコードを貼り付けて撮影して2段増感したりする事は可能です。
・最後まで自動
フィルムを最後まで撮影するとカメラが自動で判断してフィルムを巻き取ってくれます。マニュアルでフィルムを巻き上げられるカメラだとあと一枚撮れるかもといってフィルムを切ってしまう事もありますが、Big Miniではそういうトラブルにならないよう作られています。つまりはレンズを沈胴、AF、フィルム巻き上げとどの機能を使うにもモーターを使用するので電池の消費が激しいカメラとも言えます。
・カメラの電池はマクセル
電池の消費が激しく電池が無いと撮影どころかスイッチすら入らないのが全自動カメラの弱点でもあります。それだけに本番の撮影ではトラブルを減らすためにもパワーが安定した電池を使用する必要があります。リチウム電池でもSR44, SR43などのボタン電池でもカメラの電池にはマクセルが最高なので、Big MiniにもマクセルのCR123Aを使用します。
・バルクCR123Aと比べてみる
マクセルとバルクのCR123Aの両方をテスターなどで測定してみると同等なのでバルク電池もかなりクオリティが高そうです。出来れば同じマクセルの電池を予備として持ち運びたいところですが、動作確認に使用したバルクのCR123Aも予備電池としてカバンなどに入れておくのもよいでしょう。
・ケースに入れる
リチウム電池に限らず電池はそのままカバンなどに入れると金属部分に触れてショートして発熱してしまうのでケースに入れて持ち運びましょう。ケースは18650用のものが使用可能です。
18650電池と一緒にいれました(2本を連続して入れる場合は接触部を絶縁しましょう)
・マクセルCR2と比べてみる
よりコンパクトなカメラや最近であればチェキやInstax(モデルによります)などには小型のリチウム電池であるCR2が使われていますです。リコーR1やGR-1、ミノルタTC-1などの高級コンパクトにもCR2は採用されています。
・本番用電池を入れる
動作確認も済み確実に撮影が出来ることがわかったので、撮影本場に向けてマクセルのCR123AをBig Miniに入れました。内部のコンデンサーが弱っているとすぐに設定が消えてしまうので、電池交換は素早く行いましょう。
・レンズを磨く
撮影前にレンズやファインダーなど磨いてしまいます。レンズを磨くにはフジフィルムのレンズクリーニングペーパーとレンズクリーニングリキッドを使用します。レンズを綺麗にするだけでなく分解修理の際にカビを取るのにも使用出来ます。前玉は実際にはスカイライトフィルターですが、ファインダーを含めて磨きます。後玉はフィルムケースを開けると磨く事が出来ますが、もし写りに問題なく汚れてないようであれば触らない方がよいです。
フジフィルムのレンズクリーニングペーパーとリキッドを使用します
・フィルム窓に注意
フィルムカメラの種類によりますが、フィルムがカメラに入っていてフィルム名がわかるようにフィルム窓が付いています。フィルムケース内側にはスポンジがあり遮光されていますが、機種が古いのもあり完全に遮光されているかは撮影してみるまでわかりません。大した手間ではないので、心配な場合はスポンジ自体を張り替えてしまうのもよいと思います。
・フィルム窓を遮光する
120フィルムを使用する中判カメラのHOLGA(ホルガ)などでは後ろのケースからの感光を防ぐために絶縁テープなどを貼って撮影するのが当たり前になっている機種もあります。カメラを同時に何台も使用してどのカメラにフィルムが入っているかわからなくなる方は別として、このフィルムが高価な時代ではどのカメラにフィルムを入れたか忘れる事もないでしょうしフィルム窓を遮光してしまいます。簡単に外から絶縁テープを張るだけですが、より綺麗に処理するなら内側から遮光してしまうのもよいでしょう。絶縁テープも以前とは違い100円ショップのものでもベトベトしなくなったので安いもので大丈夫です。
・撮影する
レンズの状態もよく本体の動作も確認が出来たのもありこれで撮影準備が出来ました。電子シャッターや全自動のカメラは修理するのが難しくなりましたが、リチウム電池もまだ手に入るので貴重なカメラが使える間に撮影を楽しんでしまいましょう。