【レザークラフト】コンパクトカメラ用のショルダーストラップを革紐を使って作りました

– レザークラフトでカメラストラップ

市販のカメラストラップは格好もよく長さ調節が出来るのはいいのですが、一度調節したらほぼそのままです。これなら長さを決めて調節用の金具無しでカメラストラップを作ればパーツも少なく使いやすくかなり軽量になるのではと思い自作してみました。今回は吊るしの革紐を使用してほとんどカットの必要がないように作りました。オリジナルの型紙から仕上げまでを含めて書いていきます。

– 必要な素材

アウトレットで仕入れた長い革(レザー)の切れ端も数多くストックしていたのですが、今回はより簡単に作れるように最初から真っ直ぐにカットされている革紐を使いました。それと今回はコンパクトカメラ用なので、先端をリングではなく携帯電話のストラップのような形状にしました。

– 革紐

革紐はショップで太さとカラー別に数多くが用意されていたので、グリーンの25mmの太さのを選びました。これはカメラストラップの首の部分を太さに合わせたつつも、残りの切れ端はハンドバッグのストラップに作り変えました。

ハンドバッグの自作ストラップの記事はこちらです


最初から真っ直ぐに切ってある革紐でカメラストラップには十分な長さです

– レザークラフト用語

レザークラフトで使われる用語を簡単に紹介しておきます。革に関してですが表、裏、断面が銀面、トコ面とかトコ、コバと呼ばれています。ここではなるべくわかりやすいように表とか書いてすすめておきます。

・表側:銀面

・裏側:床面(トコ)

・断面(端):コバ面(コバ)


グリーンが毛羽立つ裏側(トコ)です

– 携帯ストラップ用リング

カメラストラップの先端を携帯ストラップのように細い紐状にしたかったので、パーツを揃えました。手に入れたパーツのリングは携帯電話アクセサリー用で小さくカメラストラップの革の太さは入らないので、大きめのリングに交換する事にしました。カメラストラップの先端の幅は10mmにする予定で吊り下げる事を見越して大きめの12mmのリングにしました。


携帯ストラップ用パーツ


カメラストラップ用に大きめのリングを用意


大きめのリングに交換しました

– 仮組みをする

まずはいきなり革を切り出さず、コピー用紙でストラップを仮組みをして実際のサイズや長さがちょうど良いかを確認します。コンピュータでデザインした設計図をA4用紙にプリントします。紙をデザインナイフで切り出し接着してストラップの形にします。この時に実際に使用するリングやアクセサリーを付けて、使用するカメラにも取り付けてみます。そこで問題がありそうな部分を修正しながら最終的な型紙にします。ちなみに裏面(トコ)の処理の仕方によって革が数センチ伸びる事があるので、長さはピッタリに決めず例えば105〜109cmくらいの間で作りたいと決めて、最短の105cm用の設計図を作るようにするとよいでしょう。


プリントした設計図


仮組みをしました

– 型紙を用意

毎回同じ物を作るわけではないので厚紙などに貼って型紙にはせず、今後も修正しやすいようにプリントした紙を直接革に貼って切り取ります。仮組みをして最終的な形が決まったらプリントした紙を切り出しますが、今回は既に真っ直ぐに切り取られている革を使用するので片側を切る必要がありません。カーブがある側だけを切り取るので、そちら側の紙は切り取らずに組み立てます。


修正した設計図


カーブがある方は紙を残して切り抜きます


これが型紙になります

– 型紙を貼り付ける

組み立てた型紙を革の表側(銀面)に直接貼り付けます。貼り付ける時は剥がしやすく革に汚れ等が残りづらいようにのりテープを使用します。貼る時には革が曲がらないように真っ直ぐにした状態で貼り付けます。


こちらが革の表側(銀面)で色はダークグレーです


のりテープを使うと簡単に型紙を貼り付けられます


型紙を革に貼り付けました

– 目打ちで印をつける

糸を縫う部分に目打ちや千枚通しなどで印をつけておきます。切る部分を全てなぞってもよいですが、革はその後で修正も出来るのでそのまま切り落としてしまった方が切断面が綺麗になります。


左側の四角の部分に糸を縫い付けます



– 革を切り取る

革を切るには”たちナイフ”(別たち)を使用します。OLFA(オルファ)のたちナイフは刃先が交換可能なので研ぐ必要もなく便利です。真っ直ぐの部分は金属の定規を使ういカーブの部分はそのまま切り落とします。厚紙に貼った型紙ではないのでずれない様に注意しながら切りましょう。もし確実に革を切り出したいのであれば厚紙に貼るのもよいと思います。ただ、レザークラフトでは切り出した後の仕上げ処理の方が大事で、仕上げ段階でかなり修正出来るので多少のズレは気にするよりスパッと一気に切ってしまった方が仕上がりがよくなります。革の切り取りは慣れるしかないので、失敗を恐れず1発で決めるくらいで一気に切ってしまいましょう。くびれ部分はハトメ抜きなどでくり抜いてから整えた方が楽に綺麗に仕上がります。ただ、くびれ部分はリングが入りほとんど見えなくなるので、それほど気にしなくてもよいです。


OLFAのたちナイフ


切り抜いた革紐、くびれている部分にリングが入ります

– 断面を処理する

切った側面(コバ)が毛羽立ったり切り残しがあったりするので、それをリューターやヤスリなどを使って綺麗にします。これは実際次のトコノールによる仕上げ処理でほとんどが消えるのでそれほど必要ではなく、無理にリューターなどを用意する必要はありません。ちょっと大きくズレたところを修正するくらいにしておきましょう。この時にたちナイフやデザインナイフで修正しようとするとまずうまくいかないので、少しズレは無視するくらいがよいでしょう。


リューターで端の断面(コバ)を処理する

– 裏面の処理

革の裏側(トコ)は毛羽立っているので、これに仕上げ処理をします。革をそのまま活かしたい場合はそのままでもよいとは思いますが、洋服に擦れたりする事を考えて処理をおすすめします。新聞紙などをひいてその上で革の裏面(トコ)にヘラなどでトコノールをまんべんなく塗ります。あまりストラップが長いとトコノールが乾いてきてしまうので、長いようなら半分ずつ塗るとよいでしょう。トコノールで濡れたままか半乾きの状態でガラス板やガラスのグラスなどを使用して、革の裏側(トコ)を同じ方向に伸ばしていきます。この時に力を入れてもよいのですが、力を入れすぎるとかなり革が伸び最初の設計図の長さから数センチ長くなってしまいます。これを見越しておけばよいですが、あまり伸ばしたくない場合は横ではなく下側への力を強めにゆっくり目に伸ばしましょう。

100円ショップで揃えたレザークラフト用品の記事はこちらです


ヘラ、トコノール、ガラスを用意


ガラスで伸ばして裏側(トコ)処理をしました

– 側面の仕上げ

側面である断面(コバ)の処理をします。レザークラフトで言われるのがこのコバ処理の重要さで、作家さん達ではこの処理で個性を出していく部分でもあります。方法はいろいろとありますが、カメラのストラップなど肌に触れる部分の場合は処理に相当な力を入れない限りはあまり処理をしすぎない方が肌触りはよくなります。今回はスリッカー(コーンスリッカーとも呼ばれる側面処理用の木の棒)を使用して裏面(トコ)と同様のトコノールを使用して仕上げていきます。ここで革の側面がまるまるので上であまり修正をしなくてよいと言う意味がわかると思います。切り出した長さにもよりますが、トコノールを塗ってスリッカーで全周を擦る工程を2〜3回は繰り返しましょう。トコ面はトコノールで処理をすると色が暗めになるので、希望の色味より明るめの色の革を選ぶ方がよいでしょう。


スリッカーとトコノールを使用します


スリッカーでトコノールを塗り込むのを数回繰り返します

– パーツを取り付ける

折り返し面は接着した後に糸で縫いますが、肝心のリングを入れ忘れないようにします。ここでは使っていませんが、ストラップリングガードを入れる場合は入れる向きに注意しましょう。

ストラップリングガード付きの斜めがけ出来るカメラストラップの作り方の記事はこちらです


接着前にリングを入れます

– 接着する

折り返して重なる面を接着します。接着剤にはカメラ修理でも使っているGクリヤーを使用します。これは接着力が強すぎないので失敗した時などに剥がす事で用意です。接着する場所はトコノールで処理してあるので、それを目打ちや千枚通しなどで削って毛羽立たせます。接着する部分にGクリヤーを薄く塗り乾燥する前に貼り合わせます。貼り合わせた面はあて布をしてクランプをかけます。クランプはあまり強すぎると痕が残るので接着がきっちりする程度にしましょう。痕が残ってもその後に縫うのでほとんどわからなくなります。

カメラ修理の道具などの記事はこちらです


Gクリヤーで接着します


クランプを取り付けました

– 縫うための穴をあける

革はそのままでは厚すぎて針が通らないので、レザークラフトでは糸を通す穴を先にあけておきます。この工程を菱目打と言う工具を使う菱目打ちと言います。硬いプラスチックの台(縫うセットなどについてきます)の上に置いてハンマーで真っ直ぐ打ち込みます。菱目打を真っ直ぐに打ち込むのはかなり難しいので革の切れ端などで練習してみるとよいと思います。革の厚みにもよりますが、裏まで糸が通りそうかあけた穴を確かめましょう。


菱目打ちの道具各種


菱目を使って穴をあけました(木の工具は菱切りです)

– 糸と針を用意する

今回は差し色としてオレンジの糸を使用します。自作のレザークラフトでは縫うのが1番難しいので、もし縫い目を目立たないようにするのであれば革と同色や暗い色を選んだ方がよいでしょう。縫う時には2つの針を使用しますが、糸の長さは縫う長さの3倍程度を目安にしましょう。これは革の厚みにもよるのと、途中で糸が足りなくならないように長めに用意しておきましょう。


針2本と長めに用意した糸

– 糸を針に通す

針に糸に通すにはレザークラフト用の通し方があります。5cmほど糸を余らせて0.5cm感覚で糸に針(針に糸ではありません)を3回ほど通します。糸が細くで通しにくい場合は菱切りや目打ちなどで糸を平らに伸ばすと通しやすくなります。糸に針を通したら最初に余らせていた5cmの部分を針の穴に通し、針を引っ張ります。そうすると糸が針の後ろ側でうまくまとまりますので、これで縫う準備が完了です。


糸に針を交互に通し引っ張ります


針2本両方共に糸を通しました



– 糸を縫う

菱目打ちであけた穴に針を通し交互に通していきます。この時に縫い目が揃うように針を毎回糸の上に出していきます。穴が残り3つになったら手前の針だけで縫い進めて戻します。最後の穴の時に残しておいた糸を円にして結ぶように縫い終えます。縫うのも慣れが必要なので菱目打ちを試した革の切れ端で試すとよいと思います。


縫い終わりました

– 完成

細かい部分を見てトコノールの仕上げ忘れがないかや、接着剤がきちんと乾いているかや、縫い目が必要な強度があるかなどを確認して完成です。


各部を確認して完成です

– カメラに取り付ける

カメラストラップなのでカメラに取り付けます。今回はフィルムのコンパクトレンジファインダーカメラでお気に入りのオリンパス 35DCに取り付けます。首周りの太さもカメラのサイズと重さに合っていて、長さもちょうどよくコンパクトカメラとのバランスもとてもよいです。

オリンパス 35DCの記事はこちらです


オリンパス 35DCに取り付けました

– リングのみにする

携帯用の紐先はストラップの取りはずしに時間がかかるのとそれほど使いやすく無かったので、はずして通常のリングのみにしました。ストラップリングがボディに傷をつけるが気になる方はストラップリングガードを別途取り付けるか、ストラップ製作時に取り入れるとよいでしょう。このサイズのカメラストラップですと同じ時代につくられた同様のコンパクトフィルムカメラのコニカ C35などにベストなストラップです。

コニカ C35の記事はこちらです


リングを直接カメラに取り付けるようにしました


革の裏表で色が違いよい感じです

– まとめ

市販のカメラストラップはレザーブランド系の高価な物を除いてどうしても長さを調節するための金具などがついていて折り返した部分も含めその分重量が重くなりがちです。自作するレザーストラップの場合はご自分の使用のカメラや身長に合わせて好きな幅と長さに出来て、しかも金具が必要ないので超軽量になります。カメラストラップであれば縫う部分も非常にすくなく短時間で作れるので、ご自分のお気に入りのカメラに合わせて世界に1つのカメラストラップを作ってみてはどうでしょうか。





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