- minolta Hi-Matic Eをメンテナンスする
3台目として手に入れたシルバーですが、電池を入れたらあっさり動きだしました。ただ、このままでは撮影には使えないので、各部の清掃と調整が必要です。今回はファインダー清掃、シャッターチャージレバーの調整、ISO/ASA設定リングの修正、モルト(遮光材)交換を行ったので、その手順などを書いていきます
– 各部の確認をする
minolta Hi-Matic E(ハイマチックE)は電子制御の電子式カメラとなりますので、電池を入れない事にはシャッターも切ることが出来ません。そこでまずは電池を入れて動くか確認してみると、バッテリーチェックのランプも含めて機能良好でした。しかも今まで手に入れたハイマチックEの中でもセルフタイマーの動きは1番スムーズでした。ただ、シャッターチャージのレバーの動きが渋く、これは今回のメンテナンスで解消したい項目の1つです。
電池を入れたら動きましたので、裏蓋を開けて内部をチェックします
– トップカバーをはずす
カメラは問題なく動くことがわかったので、各部の調整、注油、清掃などを行っていきます。まずはトップカバーをはずしてファインダーの清掃とギア部分などに必要であれば注油をします。トップカバーののはずし方は他の記事に詳しくありますので参考にして下さい。
ハイマチックEの詳しいパーツのはずし方の記事はこちらです
トップカバーをはずし、汚れやパーツの脱落がないかを確認します
– 内部を確認
トップカバーなどをはずと細かいパーツが多く見えてくるので、写真を撮りどの様な状態が正常なのかを記録しておきます。
– ファインダー清掃をする
トップカバーをはずした際にファインダーを清掃してしまいましょう。今回はフォーカス(ピント)の調整は必要がないので、軽く清掃するだけにします。ボディの前後についているガラスのパーツはレンズクリーニングペーパーやリキッドで磨いて綺麗にします。その2つのガラスパーツの間に斜めについているハーフミラー部分で二重像を映し出しているので、ここは汚れていない限り触らないようにしましょう。仮に拭くとしても軽くレンズクリーニングペーパーで拭く程度にしましょう。
ハイマチックEのファインダー清掃と調整の記事はこちらです
– パーツ洗浄をする
金属パーツはどうしてもお互いのパーツの摩擦などで汚れたり、元々ついていたグリスやオイルが固着してしまいます。本来は全てばらしてパーツごとに洗浄するのが1番ですが、軽度のメンテナンスであればベンジンを使用する方法があります。このベンジンを先が細いスポイトなどに入れて使用するとパーツの洗浄がしやすくなります。ベンジンは非常に乾くスピードが速いので、スポイトの中に入れるベンジンの量は少量にしましょう。場合によっては古いグリスが溶けてそれで直ってしまう場合もありますので、パーツを洗浄したら動作を確認してみるとよいです。
– シャッターチャージレバーの動きをよくする
右側にシャッターチャージ関連のギアなどが見えますので、レバーの動きがよくなるように注油をします。底部のカバーをはずした際に見える各部のギアも関連してくるので、両方共に動きを確認して必要なパーツに注油やグリスアップをします。今回はそれほど重症ではなかったようで、少量の注油であっさりとレバーの動きがよくなりました。注油する時は付けすぎない事が大事ですので、細いスポイトを使いましょう。
ギア部分に注油します
– 組み立てる
シャッターの動きもよくなりましたので、カバー類をパーツをはずした逆の手順で取り付けます。
– ISO/ASA設定リングを調整する
ハイマチックEの持病とも言えるISO/ASA設定リングに取り付けられてるプレートのレンズ沈胴内での脱落です。これが起こると撮影が出来なくなるので、前もって対処をしておきます。細かい部分は別の記事にあるのでそちらを参考にして下さい。
ISO/ASA設定リングの修理の記事はこちらです
パーツをはずします(マスキングテープはプレートに傷がつかないための養生です)
シルバーのパーツをはずすとISO/ASA設定リングにアクセス出来るようになります
– プレートを清掃します
クラシックカメラであまりネジが脱落とかはないのですが、場所を確保するために接着剤が使われている事が多くあります。ハイマチックEなどカメラの発売から40年以上経っているとさすがに金属パーツより接着剤が乾いて剥がれてしまう事が多いです。まず取り外したパーツについている接着剤などをはがします。接着剤などをはがすには無水エタノールが適しています。
カメラ整備の友である無水エタノールと100均のコスメ用注射器です
– プレートを接着します
貼り付けるプレートに開いている穴などが塞がっていないか確認します。プレートが綺麗になったのを確認したら接着剤を薄く塗り、乾く寸前くらいで貼り付けます。
– 組み立てる
また元通りにするために逆の順番でパーツを取り付けていきます
– モルトの交換をする
各機能が問題なく動くのを確認したら最後にモルトの貼り替えを行います。状態を確認すると既に古いモルトのカスが落ちてしまった状態でした。ベトベトで残った状態より全然よいので、それほど手間はかからなそうです。モルトとして今回もフエルトを使用します。モルトより金属部分への当たりが良く長持ちするのでフエルトやベルベットに似た生地類をモルトとして使っています。
100均商品を使ったモルト交換の記事はこちらです
– 養生をする
まずは現状のゴミとホコリを飛ばすためにブロアを吹きます。ゴミが中に残らないように吹きたい部分を下に向けてブロアを吹きます。大きなゴミなどがない事を確認したらレンズが汚れないようにマスキングテープで養生をします。
マスキングテープをはります
– 古いモルトをはがす
ここでも無水エタノールが活躍します。細いレール内にモルトが貼ってあるので、無水エタノールを少量たらしてペーパーなどを巻いた竹串や爪楊枝などで綺麗にしましょう。元々モルトがほとんど剥がれ落ちていたので、それほど大変ではありませんでした。
– モルトを貼る
各部のサイズに合わせてモルトを切り出し、全ての場所にモルトを貼ります。ミノルタのカメラは細いレールの中にモルトが貼っていることが多く、このハイマチックEでもかなり細く長いモルトが必要になってきます。左側に見えるフィルムを入れる側全部にモルトを貼ると裏蓋が閉まらなくなるので注意が必要です。もう1台のハイマチックEシルバーのモルト交換の記事に詳しい事が書いてありますので参考にして下さい。
ハイマチックEシルバーのモルト交換の記事はこちらです
– 完成
元々内部の機能は良好だったのもありそれほど手間もなく完動品となりました。ボディも磨いてかなり黄色味がかった色が消えシルバーの輝きが出てきました。もちろん最後は実際に撮影をして細部まで確認します。
– まとめ
ハイマチックEはシャッターさえ切れるのであれば、ボディサイズが小さすぎないのでメンテナンス性も良く整備しやすいので、初めてのジャンクカメラ修理に向いていると思います。この機会にカメラ修理に挑戦したい方はハイマチックEを手に入れてみてはどうでしょうか。