– 配線を確認する
配線を見るとかなり細い単線が使われています。複数の単線が束ねてありそこに腐食性のガスと熱がかかり被膜が溶け漏電したようです。完全に溶けているかと思いましたが、配線は楽にばらす事が出来ました。カメラの内部に場所が無いわけではないので、ここまで細い単線を使う事はなかったと思いますが、もし電池の液漏れがわかっていたら、この場所にこそ一枚熱対策のガードをつけておくべきだったでしょう。
– 入れ替えるかそのまま使うか
最初は全ての配線を入れ替える予定で同様の単線も用意したのですが、線をばらしてみると1本(緑色)だけ腐食がひどく他は被膜がかるくくっついているだけだったので、腐食の配線だけ新しくし他の線は絶縁処理のみをする事にしました。
– 線材を用意する
最初は全部の配線を入れ替える予定だったので、6色の色違いの細い単線を探していましたが、最初はちょうどよいのがなかなか見つかりませんでした。よく見かける0.32mmの単線を先に手に入れていたものの若干太く、その後にオヤイデ電気に0.26mmの単線を見つけこれを使用する事にしました。
ヘッドホンの配線と改造の記事はこちらです
0.26mmの単線がハイマチックEの内部にはちょうどよいです
– 完動品と比べる
配線の場所はわかっていましたが、一応色違いのハイマチックEシルバー完動品の配線と比較して配線を取り付ける正しい端子を再確認します。こんな時にも便利なので、気に入っていて修理をするクラシックカメラは数台用意しておくと便利です。
写真に見えるバッテリーアダプターの記事はこちらです
– 半田づけをする
腐食している部分を切り取り、新しい配線を半田づけします。そして元についていた部分に半田づけをします。この時必ず電池は抜いた状態にしておきましょう。
– 配線を確認する
取り付けた配線がきちんとついているか電池を入れて確認します。レンズボードを戻すのは手間なのでワニ口クリップを使って配線をします。この時にどちらにどちらの色をつけても動きますが、黒はアースなので黒には必ず黒のワニ口クリップをつける癖をつけましょう。
逆側は半田をはがした電池ボックスの端子にワニ口クリップを取り付けます
– 漏電が直りました
問題なくシャッターが切れ長時間放置しても電池の発熱もなく、バッテリーチェックのランプも問題なく長時間点灯します。問題だった漏電は解消されたようなので、これで最後の仕上げに入れます。
– 絶縁する
それほど傷んでいなかった各単線の皮膜ですが、また熱などの影響で悪化して漏電するのも避けたいので、1本ずつ絶縁テープで絶縁する事にしました。
この後にもう一度動作確認をしてから、絶縁テープの仕上げをしました
– 組み立てる
組み立ては逆の手順で取り付けていきます。特に注意する点はありませんが、配線を引っ張らず焦らずゆっくりやりましょう。
– 最後の鬼門
ハイマチックEはレンズボードを戻す時のシャッター機構の部分の取り付けに少し癖があるので、この部分だけ気をつけて組み立てて下さい。詳しい説明はハイマチックEシルバーを組み立てた記事にあるので参考にして下さい。
ハイマチックEシルバーのレンズボードをおろしてレンズ清掃した記事はこちらです
– 動作の確認
トップカバーを取り付ける前にシャッターが切れるか確認してからにしましょう。ファインダーの二重像がずれているはずなので、必ず無限大が出ているか確認してズレているのであれば調整をしてからトップカバーを取り付けましょう。
ハイマチックEのファインダー清掃と調整の記事はこちらです
– 完成
全てのパーツを組み立ててこれで完成です。手に入れた時に比べるとかなり状態のよい完動品になりました。
– まとめ
ハイマチックEの配線腐食はやはり電池の液漏れや発熱で起こるようです。配線が細い単線なのでより腐食の影響をうけやすいですが、完全に溶けていない限り修理は可能かと思います。後玉の清掃とレンズボードを止めているモルト交換はレンズボードをおろさないと出来ないので、完全に綺麗にするつもりであれば配線不良を直す意味もあるかと思います。